研究課題/領域番号 |
13J02447
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
瀧川 佳紀 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC2)
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キーワード | ブラウン運動 / コロイド / せん断流 / 非平衡定常状態 |
研究概要 |
先行研究により、平衡状態では1/2となる持続確率の冪指数(持続指数)がせん断を印加することにより変化することが理論的に指摘されていたが、実験的に求めた例は今までなかった。そこで本研究では、ニュートン流体としてよく知られている水中に微粒子を分散させ、定常せん断を印加したときのブラウン運動の様子を共焦点レーザー顕微鏡を用いて直接観察した。そこで得られた軌跡を解析した結果、持続確率は冪で減衰し、せん断を印加することにより持続指数が変化することが実験的に実証できた。また、その持続指数の変化する特徴的な時間がせん断速度に依存していることを見出した。さらに、微粒子の位置に対する2時間相関関数を求めたところ平衡系では見られなかった相関が現れていることが分かった。 Langevin方程式から導出した2時間相関関数からせん断流下における持続指数を近似的に求め、実験で得られた結果と比較したところ良い一致を示していた。これらの成果をまとめてPhysical Review Eで発表した。 上記で用いた手法を、増粘剤として広く用いられていてシアシニングを起こす非ニュートン流体であるキサンタンガム水溶液に適応した実験を行った。平均二乗変位を求めたところ、せん断流とは垂直な方向で平均二乗変位が顕著に大きくなり、せん断流の影響が見られていた。記憶関数を用いた解析では、せん断を印加すると、平衡状態に比べて緩和時間が短くなり、せん断流は記憶項が拡散に及ぼす影響を小さくすることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今までの測定手法をニュートン流体よりも複雑な粘弾性物質に適応させ、次の研究に向けての見通しがついている。
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今後の研究の推進方策 |
粘弾性流体中の微粒子において、せん断流によって拡散の変化をもたらす起源を明らかにするために、キサンタン分子を分散させる媒質を、ブラウン運動の影響が無視できる程度の高粘度のものに変化させた実験を行う。また、定常振動流下でも同様の実験を行い、定常せん断流を印加することにより見られた変化が現れるかを確かめる。
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