研究課題
本研究の目的は、個々の枯死有機物(落葉・枯死根・枯死木)の分解呼吸量と、それぞれに固有の環境要因・基質特性との関係を定量化し、各基質の分解過程を考慮に入れた森林の枯死有機物分解-土壌炭素蓄積プロセスの解明と定量的評価をすることである。本年度は、尾根と谷を含んだ複雑地形の特徴である落葉の不均質性に着目し、流域全体でのリタ―量調査や落葉量の違いが分解呼吸に与える影響について定量評価した。さらに、リタ―量―土壌炭素蓄積量の関係に着目した土壌炭素量の調査も広範囲で行った。その結果、落葉分解呼吸量は流域内において0.31~1.41tC/haといった非常に大きなばらつきを示した。落葉分解呼吸は、落葉の量とその含水比の不均質な分布を通じて、土壌呼吸の時間的・空間的な変動の重要な制御因子になることが明らかになった。本研究結果から得られた落葉分解呼吸と、本試験地で過去に測定された枯死根や枯死木の分解呼吸の結果を比較検討することにより、それぞれの枯死有機物の物理特性(サイズ)や存在位置(表層・土中)が、その基質に固有の環境状態(特に水分条件)を決定し、その結果として分解呼吸速度に影響を与えていることを示した。さらに、2年にわたる分解呼吸速度の連続測定結果から季節的なヒステリシスが確認され、等温度条件下にもかかわらず春期の分解呼吸速度は、秋期よりも3倍ほど高い傾向を示すことが分かった。さらに、微生物バイオマスの結果からも同様の傾向を示したことから、微生物因子が分解の進行に伴い変化していることが明らかになった。今後は、環境因子・基質特性-分解呼吸速度の関係だけでなく、微生物因子も組み入れた評価が必要であることが示された。これらの成果は、国際誌(PLOSone)、日本森林学会、日本生態学会、International Symposium on Physiological Processes in Roots of Woody Plantで発表した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Geophysical Research - Biogeosciences
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PLOSone
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10.1371/journal.pone.0108404