研究課題/領域番号 |
13J02494
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坪田 陽一 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC2)
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キーワード | シンチレータ / 放射線検出器 / コンプトンカメラ / γ線 |
研究概要 |
初年度は粒子・重イオン輸送計算のモンテカルロシミュレーションコード「PHITS (Particle and Heavy Ion Transportation code System)」を中心として用い、コンプトン散乱角シミュレーションに基づき、初段検出器および二段目のシンチレータプレート形状設計を行った。初段散乱体からの散乱角度分布と散乱粒子エネルギーマップを取得し、機能試作の際の性能指標を得た。具体的には当初の目論見通り、初段散乱体としては1cm角程度のシンチレータが、二段目検出器用ドーナツ型プレートとしては厚み1.2mm程度で十分な性能を得られることが判明した。 また、本年度は本装置の性能向上のために、使用する蛍光体であるGPSシンチレータの発光特性の均一化を行い、エネルギー弁別性能の高性能化を推し進めた。具体的にはシンチレータ合成時の雰囲気や合成後処理の改良をおこなうことによって、斜方晶GPSシンチレータで従来のNaI : T1シンチレータ比1.4倍、高速減衰特性をもつ三斜晶GPSにおいてもNaI : T1比1.2の発光量へと、大幅な性能向上を果たした。特に後者は高速減衰特性を持つため、検出機の時間分解能向上、特に高線量環境下では高い威力を発揮することが期待される。 機能試作については最終的には光電子増倍管ではなくPINフォトダイオード等の半導体光素子を用いた方が小型化への寄与が高いことから、専用の光検出―アンプ回路を設計し、試作を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は最終的な性能向上への寄与が大きいGPSシンチレータの性能向上、特に高速減衰の三斜晶GPSについて改良を行った。また最終的な製品形態を考え、光電子増倍管の系ではなく、半導体光素子を用いたアンプ等を前倒しして試作した。
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今後の研究の推進方策 |
今まで得られた実験結果に基づき、小型の光検出器であるPINフォトダイオード及びMPPC等を用いて小型の試作機を作製する。特にMPPCは供給メーカーから新製品の提案が来ており、大幅なS/N向上が見込まれる。この試作機ではオペアンプを用いてプリアンプ回路までを内蔵し、可能であればArduino等のマイコンを用いた簡易データ収集機能の付与を目指す。 小型光検出器はエネルギー分解能において光電子増倍管に劣るため、必要に応じてシンチレータに反射材をつける等集光量を改善する一方、それにあわせて素子ゲインを下げる等の対策を行う。
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