研究実績の概要 |
今年度は、熱帯多雨林内における葉圏菌類の空間分布構造を調べた。 サケラート環境研究センター (タイ) の季節常緑林において、高さ40mの林冠タワーを用いて、26種71個体の樹木を対象に19階層の高さから葉を採取した。全144箇所の葉サンプルについて、サンプル毎にDNAを抽出し、菌類に由来するITS1領域をPCR増幅し、次世代シーケンサー Ion PGM を用いて塩基配列解読を行った。得られた配列断片について、95%以上同一の塩基配列をOperational taxonomic unit (OTU) にまとめた結果、合計2,408個の菌類OTU (14,992,501配列) が認識された。サンプル毎に菌類OTU数及び分類群組成を調べ、空間地点間で比較した。 各階層で見出された菌類OTU数は、林床から林冠へと高度が増すにつれて減少した 。また、上層部ほど子嚢菌門 (特にクロイボタケ綱) が菌相に占める割合が高くなることが明らかとなった。菌類群集組成は林床から林冠へと徐々に変化し 、互いに組成の類似する菌類群集を類似した色で視覚的に示したところ、林床部では様々な組成の菌類群集が見られる一方で、林冠部では近接する菌類群集は互いに類似しており、葉圏菌類の多様性は林床部において高いことが示された。 尚、本研究成果に基づく英語論文は、現在執筆中である。
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