研究課題/領域番号 |
13J02547
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
磯部 真也 北海道大学, 大学院生命科学院, 特別研究員(DC2)
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キーワード | ヘテロクロマチン / DNA修復 / 53BP1 / Homologous recombination / HP1 |
研究概要 |
本年度は、RNA千歩法を用いて新規HP1結合タンパク質HPB66のDNA損傷部位集積には、DNA損傷応答パスウェイにおいて重要な働きを示す53BP1に依存していることを示した。また、HPB66ノックダウンによる影響を調べたところ、53BP1のDNA損傷への集積は遅延が見られるが、時間経過とともに集積すること、Homologous recombination (HR)に関わる重要なタンパク質BRCA1、Rad51のDNA損傷への集積が顕著に減退すること、HPB66ノックダウン細胞は放射線感受性を示すことを明らかとした。 HPB66と53BP1の相互作用を免疫沈降法とウエスタンブロッティングを用いて解析したところ、放射線照射依存的にHPB66と53BP1は結合が強くなるが、ATMキナーゼによるリン酸化と独立であること、細胞周期同調した細胞を用いると、M期に結合が強くなることが分かった。 ヘテロクロマチンタンパク質HP1、HBAT1、HPB66の相互作用を免疫沈降法、酵母ツーハイブリッド法を用いて解析したところ、HBAT1は2つのHP1結合モチーフと、約50アミノ酸のHPB66結合領域を持つことを明らかにした。また、HBAT1はDNA結合モチーフを持ち、これらの結合を破壊した変異体を用いて解析したところ、HBAT1のペリセントロメア局在はHP1に依存し、HPB66結合とは独立であること、DNA結合モチーフを欠損するとペリセントロメア局在が増加して観察されることが分かった。これらの結果からHBAT1はHP1結合を介してヘテロクロマチンに局在し、SCAIと結合することでDNA修復に寄与していることが想定される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヘテロクロマチンにおけるDNA修復メカニズムから少し研究内容が外れてきているが、新規HP1結合タンパク質HPB66、HBAT1の機能解析が進み、特にHPB66がDNA損傷にどのように関わっているかが明らかになりつつあると思われるため。
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今後の研究の推進方策 |
53BP1はDNA二重鎖切断修復経路のスイッチングに関わると現在考えられており、53BP1と結合するHPB66もスイッチングに関わると想定される結果が得られている。そのため、修復経路のHRまたはnon-homologous recombinationのレポーターアッセイ、sister chromatid exchangeやtelomefe fusionなどの染色体観察によりHPB66がスイッチングに関わることを明らかとして論文の形式にまとめる。
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