研究実績の概要 |
miRNAサイレンシング複合体によるmRNA分解促進機構と翻訳抑制機構の詳細な分子機構は不明な点が多く残されている。本研究ではmiRNAサイレンシング複合体因子であり発現抑制の中心因子であるTNRC6によるmRNA分解促進機構と翻訳抑制機構の詳細を明らかにすることを目的としている。これまでの研究より、遺伝学的な解析が容易な出芽酵母においてmiRNAサイレンシング機構の再現に成功した。ゼブラフィッシュ由来のTNRC6が出芽酵母のCCR4-NOT複合体(ポリ(A)短鎖化複合体)と相互作用し、キャップ構造除去反応(デキャッピング)を促進することで翻訳とポリ(A)鎖非依存的に5’側からmRNA分解を促進することが明らかとなった。TNRC6依存の翻訳抑制機構において、CCR4-NOT複合体はデキャッピング促進因子をリクルートすることで翻訳を抑制することを見出した。 上記の研究成果について原著論文(Makino et al., J. Biol. Chem. 290, 8331-8347)を発表し、国際学会は1回、国内学会では4回の発表を行った。 平成27年度もTNRC6とCCR4-NOT複合体を介したサイレンシングにおける、デキャッピング促進因子の機能解析を行う予定である。酵母遺伝学を用いたサイレンシングを担う因子の同定と、同定した因子についてヒト細胞由来の抽出液を用いた試験管内翻訳系で機能解析を進める予定である。
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