研究概要 |
早産児の運動発達障害発症率は正期産児と比べ非常に高いが, 新生児期の各種所見が正常であっても後に歩行困難などの運動障害を呈する症例が存在し, 現状の早期予測では不十分であるため, より信頼性の高い予測手段が求められている. 本研究の目的は, 運動に関わる代表的な神経経路である皮質脊髄路の成熟に着目して, 早産児における運動発達障害の予測を実現することである. 皮質脊髄路の成熟は機能的成熟と構造的成熟に大別されるが, 通常行われる脳波やMRI等の検査ではどちらの成熟の観察も十分ではない, 本研究では, 機能的成熟の評価として脳波・筋電図の同時計測によるCortico Muscular Coherence (CMC)を, 構造的成熟の評価としてMRIの応用であるDiffusion Tensor Imaging (DTI)を利用して, 皮質脊髄路成熟を機能ノ構造面の両側面から観察し, 追跡調査による運動発達予後との関連を検討する. 具体的には, ①新生児期のCMC計測を確立する, ②0ヶ月時点に計測したCMCとDTIと比較することで機能的成熟と構造的成熟の関係を検討, ③新生児期のCMCおよびDTIを利用した運動発達予後予測を確立, 以上の3点が研究計画の骨子となっている.
|