研究課題/領域番号 |
13J02806
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浅野 史代 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | 西アフリカ / 女性のネットワーク / 開発援助 |
研究概要 |
本研究は、西アフリカ村落部の事例をもとに、女性が様々に形成するネットワークと開発援助の関係からアフリカ村落部のオルタナティヴな発展モデルを確立することを目的とし、平成25年度は、カメルーン村落部にて1ヶ月間、ブルキナファソ村落部にて1ヶ月半の人類学的手法に基づく調査をおこない、女性のネットワークの形成を解明することに重点を置いた。 調査は、女性たちが生活する中で活用してきた地縁、血縁、疑似的血縁によるネットワークが、自らの社会を自らで発展させる可能性を秘めているのではないか、という仮説を検証するためにおこなった。とくに、日常的におこなわれている婚家における貸借、および擬制的親族関係を利用した援助に焦点をあて、誰とどのような関係のもとで相互扶助をおこなっているのかに関して、不安や恐れ、妬みといった人びとの内面的要素や女性間の駆け引きなど、不可視的な営みをも視野に入れ、日常的な貸借、援助により形成されたネットワークの広がりに関して分析中である。 これらの分析は、血縁に基づく関係性にとどまらず、非血縁者との関係、とくに女性が婚家や都市との間で形成する関係性に焦点を当て、ミクロな視点から女性の心情をも捉えて女性間のネットワークを重層的に分析し、ダイナミックなアフリカ女性の生活戦術を明らかにしようとする点に意義がある。また、女性たちの生活戦術から開発援助のあり方をもう一度問い直すとともに、在来知の活用を検討するうえで、女性のネットワーク形成の解明は重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カメルーンに関しては、調査・分析ともに順調に進展している。ブルキナファソに関しては、調査をおこなったのが年度後半であり、現在、収集したデータを整理し、女性が形成するネットワークの重層性について分析中である。ただし、ブルキナファソの現地調査においては、来年度の研究計画に一部着手していることから、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は当初の予定に従い、カメルーン、およびブルキナファソ村落で女性のネットワークの有効性を検証するため、女性たちにネットワークに基づくグループで活動をおこなってもらい、その結果を分析する。ブルキナファソでの調査が12月以降の乾季の時期となることから、分析結果が遅れることが予想されるものの、3年目に追加調査をおこなうことで、分析結果は検証可能であると考える。
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