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2014 年度 実績報告書

スパコン向け高速・高精度な部分特異値分解ソルバの開発と公開

研究課題

研究課題/領域番号 13J02820
研究機関京都大学

研究代表者

石上 裕之  京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード特異値分解 / 並列計算 / 逆反復法 / 行列乗算 / 固有値分解 / メニーコア
研究実績の概要

2年目にあたる平成26年度では、設計した部分特異値分解アルゴリズムの内、特異ベクトル計算に用いるアルゴリズムについての性能評価と更なる高速化を目標とした研究を行った。また、研究過程で得られた知見を応用することで、他の特異値分解アルゴリズムなどの高速化も達成した。
1) 再直交化付きブロック逆反復法の更なる性能評価: 昨年度開発した再直交化付きブロック逆反復法は、適用する再直交化アルゴリズム次第で異なる性能を示すことが分かっていた。このため、実際にどのような性能差があるのかの詳細について評価のための数値実験を行った。開発したアルゴリズムの提案も含め、この結果は査読付き論文誌に採録された。
2) データ再利用性の高い再直交化プロセス計算法の開発とその応用: 再直交化プロセスに用いられるアルゴリズムのデータ再利用性を改善する並列実装法を開発した。数値実験による性能評価により、特異ベクトル計算に用いる再直交化付き逆反復法の計算時間を短縮できることを示した。また、この成果の応用として、同様の再直交化プロセスが現れる特異値分解アルゴリズムなどの高速化にも着手した。以上の結果については、国内外の研究会において発表し、成果物であるソースコードの公開も行っている。
3) メニーコア環境における開発アルゴリズムの性能評価: 開発した部分特異値分解アルゴリズムをメニーコア・アーキテクチャの一つであるIntel Xeon Phi 向けに実装し、メニーコア環境においてのアルゴリズムの性能評価を行った。その結果、大規模な並列計算においてボトルネックとなり得る計算プロセスを特定することができた。今後の展望として、このボトルネックの解消を目指し、近年注目を集めているコレスキーQR分解法を導入したアルゴリズムの定式化が挙げられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度に予定していた、部分特異値分解アルゴリズムの分散メモリ環境向け実装コードの開発および性能評価については着手が遅れることとなってしまった。一方で、安定性を高めるためのアルゴリズム選択や更なる高速化技法の開発、今後課題となり得る計算プロセスの特定など、より多くの知見を得ることができた。よって、最終年度である次年度の研究をスムーズに進めていくための土台は着々と完成に近づいていると考えられる。また、当初予定していた通り、徐々にソースコードの公開にも着手している。

今後の研究の推進方策

当初の予定通り、開発した部分特異値分解アルゴリズムの大規模並列環境への適用および性能評価を進める。ボトルネックとなり得る計算プロセスに対しては、既に得られている改善指針に沿ってアルゴリズムの定式化および実装、性能評価を行う。また、成果物であるソースコードについても順次公開したい。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 再直交化付きGKL法および再直交化付きブロックGKL法の高速化について2014

    • 著者名/発表者名
      藤井祐貴, 石上裕之, 木村欣司, 中村佳正
    • 雑誌名

      第43回数値解析シンポジウム講演予稿集

      巻: なし ページ: 140-143

  • [雑誌論文] 古典グラム・シュミット法に基づく逐次直交化計算の並列実装について2014

    • 著者名/発表者名
      石上裕之, 木村欣司, 中村佳正
    • 雑誌名

      研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)

      巻: Vol. 2014-HPC-145, No. 20 ページ: 1-6

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 再直交化付きブロック逆反復法による固有ベクトルの並列計算2014

    • 著者名/発表者名
      石上裕之, 木村欣司, 中村佳正
    • 雑誌名

      情報処理学会論文誌 コンピューティングシステム (ACS)

      巻: Vol. 7, No. 3 ページ: 1-12

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Xeon Phi における部分固有対計算の高速化に向けて2015

    • 著者名/発表者名
      石上裕之, 木村欣司, 中村佳正
    • 学会等名
      日本応用数理学会2015年研究部会連合発表会
    • 発表場所
      明治大学 中野キャンパス (東京都中野区)
    • 年月日
      2015-03-06
  • [学会発表] 部分固有対計算ソフトウェアARPACKの改良について2014

    • 著者名/発表者名
      藤井祐貴, 石上裕之, 木村欣司, 中村佳正
    • 学会等名
      日本応用数理学会 「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第18回研究会
    • 発表場所
      東京大学 本郷キャンパス (東京都文京区)
    • 年月日
      2014-12-25
  • [学会発表] Development of parallel SVD solver for large-scale sparse matrix2014

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Ishigami
    • 学会等名
      CMSI International Workshop 2014: Tensor Network Algorithms in Materials Science
    • 発表場所
      理化学研究所 計算科学研究機構 (兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2014-10-21
    • 招待講演
  • [学会発表] 疎行列の部分特異対を計算するためのRGKL法における再直交化法の比較について2014

    • 著者名/発表者名
      藤井祐貴, 石上裕之, 木村欣司, 中村佳正
    • 学会等名
      日本応用数理学会2014年度年会
    • 発表場所
      政策研究大学院大学 (東京都港区)
    • 年月日
      2014-09-03
  • [学会発表] 古典グラム・シュミット法に基づく逐次直交化計算の並列実装について2014

    • 著者名/発表者名
      石上裕之, 木村欣司, 中村佳正
    • 学会等名
      2014年並列/分散/協調処理に関する『新潟』サマー・ワークショップ (SWoPP新潟2014)
    • 発表場所
      朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター (新潟県新潟市)
    • 年月日
      2014-07-29
  • [学会発表] Speed-up of reorthogonalized block Golub-Kahan-Lanczos algorithm for preprocessing2014

    • 著者名/発表者名
      Yuki Fujii, Hiroyuki Ishigami, Kinji Kimura, Yoshimasa Nakamura
    • 学会等名
      8th International Workshop on Parallel Matrix Algorithms and Applications (PMAA14)
    • 発表場所
      Universita della Svizzera italiana (Lugano, Switzerland)
    • 年月日
      2014-07-03
  • [学会発表] 再直交化付きGKL法および再直交化付きブロックGKL法の高速化について2014

    • 著者名/発表者名
      藤井祐貴、石上裕之, 木村欣司, 中村佳正
    • 学会等名
      第43回 数値解析シンポジウム -NAS2014-
    • 発表場所
      ホテル日航八重山 (沖縄県石垣市)
    • 年月日
      2014-06-13
  • [備考] 採用者の個人ウェブサイト

    • URL

      http://www-is.amp.i.kyoto-u.ac.jp/lab/hishigami/

  • [備考] 研究成果に基づくソースコード無償配布のためのウェブサイト

    • URL

      http://www-is.amp.i.kyoto-u.ac.jp/kkimur/LAPROGNC/LAPROGNC.html

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公開日: 2016-06-01  

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