研究課題
台湾の「長期介護10年計画制度」は、ケアサービス資源の不足及び質の差が大きく、介護人材不足など多くの問題も含んでいる。しかし、我々の調査では台湾の高齢者は抑うつがすくなく、幸福度が高かった。これは、介護資源が乏しいにもかかわらず、コミュニティーサポートなどの要因が寄与していることが考えられる。これによりコミュニティーケアと介護予防について、日本と台湾のよりよい介護制度将来像を検討することを本研究の最終目的としている。本年度は台湾の台南市D町の地域在住高齢者の繋がり・信頼関係と健康状態の関連を調べて明らかにした。1. 台湾の地域在住高齢者調査台湾・台南市D町の医学調査への65歳以上の地域在住高齢者の参加者は149名で、男性68名、女性81名、平均年齢75.4歳(最高齢101歳)であった。149名の高齢者うちSocial Cohesion and Trust (SCT)スコアと抑うつスコア、QOL5項目は相関がみられた。身体状態を含むその他の項目との相関は有意とならなかった。2. 台湾と日本の地域在住高齢者の比較調査日本・高知県T町地域在住高齢者227名(男性76名、女性151名、平均年齢81.3歳)及び台湾・台南市D町地域在住高齢者149名(男性68名、女性81名、平均年齢75.4歳)を対象とした。地域のつながり信頼関係は、Social Cohesiona nd Trust (SCT : 3項目、3-15点)を用いて評価した。自記式質問紙により、基本的日常生活動作、転倒スコア、うつ状態、主観的QOL(健康度、家族関係、友人関係、経済満足度、幸福度)、ライフスタイル、現在の投薬、既往歴を評価した。2地域のいずれにおいても、SCTと抑うつスコア、主観的経済感以外のQOLは相関がみられた。身体状態を含むその他の項目との相関は有意とならなかった。
2: おおむね順調に進展している
本年度、日本と台湾の地域在住高齢者に対して地域の繋がり、信頼関係にどのような要因が影響するのかを明らかにするために、健康状態との関連を検討した。具体的には2地域のいずれにおいても、繋がり・信頼関係と主観的経済感以外のQOLは相関がみられることを明らかにした。二つ調査地のデータ解析は現在も進行中で、これにより得られる解析結果が日本と台湾で地域高齢者の抑うつ状態、ライフスタイル、ケアの特性の把握に繋がると考える。
本年度の結果から地域のつながり・信頼関係は抑うつ状態と主観的QOL(健康、友人関係、家族関係、幸福)とは関連するが、身体状態には関連がない可能性があると考える。来年度はデータを用いて、論文の作成を行う。
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