研究概要 |
本研究課題、「森林生態系サービスの流域環境評価と地域固有性を反映した上流域の持続的生存基盤管理」は、以下3つの研究主題に準ずる。 I. 地域住民の土地利用管理に関する意思決定の変化過程の解明 II. 地域住民が持つ慣習的価値観を反映した土地利用動態のシナリオ解析 III. 土地利用変化における意思決定の地域的差異とその要因分析 平成25年度は、最初の研究主題に示す、「地域住民の土地利用管理に関する意思決定の変化過程の解明」を対象に取り組んだ。主題1は、現地での植生状況や棚田の利用状況について実測データを取得することが必要不可欠である。そこで、2013年10月14日~2014年2月15日にかけて調査地であるインドネシア共和国スラウェシ島北トラジャ県に長期滞在し、各植生タイプ別の毎木調査、棚田における水稲作の栽培状況の聞き取り調査、と稲の生育状況の実測調査を行った。また同時並行で行った衛星画像との対応付けから、広域な土地利用図の作成を行った。主題遂行における各段階は、植生の樹種構成とスペクトルミクスチャー解析による詳細な植生図の作成, 生育段階のスペクトルを用いた作付け回数の抽出, 棚田の利用状況と地理条件の関係をテーマとした投稿論文として平成26年度中に論文誌に発表する予定である。 また、主題2の、時系列の土地利用変化過程と社会状況との関連の解明のためには、衛星画像(LANDSAT TMETMセンサ)を用いた土地被覆変化分析を行い、調査地にて実施した土地利用動態の聞き取り調査とあわせ、1990年以降の北トラジャ県内の土地利用変化を抽出する。また、インドネシア中央統計局による1982年以降の社会統計指標と土地利用の時系列変化の関連付けを行う。この主題については、各段階を論文として学術雑誌に投稿する予定である。
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