研究課題/領域番号 |
13J02910
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
二ツ山 達朗 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
|
キーワード | チュニジア / オリーブ / 民衆のイスラーム / バラカ / 聖者信仰 |
研究概要 |
4月から8月は本研究の理論的な考察を行うために、日本国内において文献資料の読解を行った。その成果を①桜美林大学(5月23日)、②京都大学(7月30日)、③筑波大学(8月2日)の研究会・ワークショップにおいて発表し、多くの研究者からコメントをもらった。このことにより、研究課題の理論的主軸の構築、フィールド調査にむけた有用な手法の取得につながった。 9月5日~9月13日には6人の研究者と共にウズベキスタンにおける共同調査を行った。聖者信仰の実態を調査すべく、サマルカンド、ブハラ、フェルガナ盆地、タシュケントの各地域の聖者廟を訪れた。人類学、歴史研究、文献研究など異なるディシプリンからなる研究者とともに調査を行い、イスラーム世界における地域的な差異を総合的に理解することができた。またその調査結果を報告書にまとめた。 2013年11月10日~2014年2月21日まで、チュニジアにおけるフィールド調査を行った。フィールド調査においては、農作業の参与観察と聞き取り調査、文献資料の収集を行った。チュニジア中部と南部の農村地帯において、オリーブの栽培方法、収穫した果実の利用方法を参与観察した。また、日々の生活を参与観察するなかで、彼らが日常的に語る自然観に関しての台詞もデータとして収集することができた。文献資料の収集はチュニジア国立図書館、IRMC、チュニス市内の書店において、研究課題に関する書籍を複写、購入した。 11月21日~11月27日は、パリのCNRSで開かれたワークショップに参加した。CNRSの研究者と交流を深めるとともに、各研究所や書店で資料収集を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究会における発表を行ったことで、理論的な考察を深めることができた。また、約4ヶ月間のフィールド調査を行ったことにより、オリーブの栽培法・利用法とインフォーマントの自然観についてのデータを入手することができた。これらのことが、チュニジアにおけるオリーブとムスリムの関係を探る上でのよい手がかりとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は7ヶ月間のフィールド調査を予定しており、さらなる事例の蓄積を行う。調査はこれまで調査できなかった季節(6月~11月)をチュニジアの農村地で行う予定である。農作業の参与観察を行う他、薬草の在来知についての聞き取り調査も行う。また都市部では、文献資料の収集と同時に、植物の名を付した企業や商店、植物をモチーフとしたグッズを販売・使用している商店などへの聞き取り調査を行う。これらの調査から、チュニジアにおける植物と入の関わりを事例研究として考察し、帰国後は論文執筆、学会発表などのアウトプットを行う予定である。
|