研究課題/領域番号 |
13J02927
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
楠 和樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 東アフリカ / 牧畜社会 / 畜産資源 / 土壌侵食 |
研究概要 |
本研究では、東アフリカの乾燥地域における畜産資源の市場ネットワークの動態を明らかにするとともに、こうしたネットワークを媒介する諸アクターの意義を解明することを目的としている。具体的には、ケニア共和国の北部で近年活性化しつつあるラクダを商品とした交易活動を分析の対象としている。本年度はとくに、「研究の目的」欄で述べた研究内容の一つである、国家が家畜の市場化についてどう認識し関与してきたかを歴史的に明らかにしていくという課題に集中的に取り組んだ。そのために、年度の前半の期間は、国内の大学図書館や、昨年度ケニアの国立公文書館で入手した行政資料やその他関連刊行物を整理し、読解する作業に充てられた。年度の後半は、その作業から得られた知見をもとに、1930年代に世界的に流行した土壌侵食論がケニアで牧畜を生業とする人びとに対する行政に与えた影響について論文を執筆し、その成果は3月に雑誌『アジア・アフリカ地域研究』において刊行された。同月には資料収集のためにイギリスに出張し、ロンドンの国立公文書館でケニアの畜産行政に関する資料を閲覧、収集した。また、イギリスではロンドン大学東洋アフリカ研究学院とオクスフォード大学ローズハウス図書館も訪問し、未入手だった重要文献や手稿類を閲覧することができた。これによって、植民統治期ケニアにおける畜産行政について、2014年度前半中に論文を執筆するために必要な資料は入手できたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究の目的」で述べた研究内容を構成する課題のうち、今年度はとくに、イギリスによる植民統治期以降の畜産行政について歴史的に検討する作業に取り組んできた。その一環として、3月にイギリスに資料収集のため出張するとともに、論文を一本刊行した。
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今後の研究の推進方策 |
「研究の目的」で述べたもう一つの課題である、ケニアの市場間で活動する諸アクターの媒介的な意義について詳細な資料を得るために、ケニアに渡航し、フィールドワークと、ナイロビの公文書館に収められている行政資料の収集・分析を行う。
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