①現地調査:2014年6月21日~8月9日にエチオピアに渡航し、フィールドワークをおこなった。20代から50代の既婚女性14人に対して就学選択の経験を中心にライフヒストリーを聞き取った。 ②研究発表:前年度の調査結果をふまえ、4月のアフリカ教育研究フォーラムと5月のアフリカ学会において口頭発表をおこなった。アフリカ教育研究フォーラムの場ではエチオピア農村における成人の就学状況について現状報告と、就学動機について考察した。今年度おこなった調査をふまえ、11月のアフリカ教育研究フォーラムにおいて口頭発表をおこなった。ひとりの女性教師のライフストーリーに焦点をあて、彼女が自身のライフヒストリーをいかに構築し、書き換えていったのかを分析した。それによって、近年エチオピア農村でみられる社会的変化を描き出すとともに、就学を経験した女性が自己をどのように解釈しようとしているのかについて考察を加えた。本発表には優秀研究発表賞が授与された。 ③投稿論文の執筆:これまでにおこなった調査結果をふまえて『アフリカ研究』に「女性の就学選択とライフコース―エチオピア西南部マーレを事例に」と題した論文を投稿した。2015年3月現在、査読中である。本論では、エチオピア西南部マーレの農村において、学齢期を超過しての就学または復学を経験した3人の女性を事例としてとりあげ、それぞれの女性が就学または復学という選択に至る経緯について明らかにした。現行の教育システムと、女性の就学に対する社会的承認と個人の状況的な意志がかみ合い、親密な間柄のなかで関係の調節がおこなわれたことによって、3人の就学は可能となっていたことを明らかにした。継続的な女子教育を達成するためには、固定的なライフサイクルを前提とした単線的な教育開発を考えるのではなく、多様な行動選択を含むライフコースも視野に入れることが重要であることを指摘した。
|