2色の異なるレーザー光をコヒーレントに重ね合わせることで得られる非対称な電場波形を利用した分子のコヒーレント制御を目的とし,2色強レーザー場における二酸化炭素分子のクーロン爆発過程で生成したフラグメントイオンの3次元運動量画像計測をおこなった。その結果,フラグメントが放出される方向がレーザー電場波形によって制御可能なことを見出した。また,結合選択性がレーザー電場の非対称性が最大となったときに最も顕著となることも明らかとなった。時間依存の断熱ポテンシャルを用いた理論計算ともよい一致を示し,非対称解離過程がレーザー電場によるポテンシャル曲面の変形によって引き起こされていることが明らかとなった。以上の結果は,比較的単純な非対称パルスによる化学反応制御が可能であることを示しており,強レーザー場における化学反応過程を理解する上で重要な突破口となりうる。
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