研究実績の概要 |
今年度は、昨年度の予備調査を踏まえて、本研究課題のひとつである外国人労働者が帯同した児童およびタイで生れた児童の教育について、詳細なフィールド調査を行った。 フィールド調査は2014年11月10日から2015年3月20日にかけて、タイ王国チョンブリー県を主な調査地として行った。調査の目的は、外国人児童がタイの公立学校に就学するための条件及び就学後のタイ人児童やタイ人教員との関係を、特にタイ側からの視点で明らかにすること、と設定した。 具体的には、タイ人児童及び保護者、タイ人教員、外国人児童及び保護者を調査対象者とし、タイ人及び外国人児童の保護者に対して質問票を用いた半構造化面接を行った。一度の面接は1時間から1時間半とし、タイ人保護者、外国人保護者とも約40名ずつの協力を得た。また、後日必要に応じて追加面接を実施した。タイ人教員への面接は、当該校が外国人児童を受け入れているか否かを区別せず、教育委員会の管理下にある公立小学校を対象に、学校長又はそれに準ずる教員の協力のもと実施した。 研究発表について、学会発表は叶わなかったが、アジア域内の労働移動に関する研究会でタイの外国人労働者政策に関する報告を行ったほか、年報『タイ研究』に書評「野津隆志.『タイにおける外国人児童の教育と人権―グローバル教育支援ネットワークの課題』ブックウェイ, 2014年, 239 p.」を投稿した(採録決定、2015年7月発行予定,第15号)。また、隔月発行の一般紙「タイ国情報」(公益財団法人日本タイ学会発行)には、5月号から継続してタイの外国人労働者に関する総説を投稿している。
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