研究概要 |
ある記憶を検索することが他の関連する記憶を抑制する現象である検索誘導性忘却(Anderson et al., 1994)を取り上げた。ネガティブ語を抑制対象とした検索誘導性忘却を行い, その程度に個人差が見られるかを検討した。個人差の指標としては, ワーキングメモリ容量を用いた。ワーキングメモリとは, 短期的に保持される記憶であり, このワーキングメモリ内に貯蔵できる程度をメーキングメモリ容量であり, ワーキングメモリ容量は実行機能との関連があるとされている. 検索誘導性忘却が実行機能と関連するというExecutive deficit hypothesis (Levy & Anderson, 2007)から, ネガティブ語の検索誘導性忘却に関してもワーキングメモリ容量の程度が関連すると考えられる。しかしながら, ワーキングメモリ容量と非感情語の検索誘導性忘却の関連について扱った研究(Aslan & Bauml, 2011 ; Mall & Morey, 2013)では, ワーキングメモリ容量と検索誘導性忘却に正の関連があるという報告(Aslan & Bauml, 2011), ワーキングメモリ容量と検索誘導性忘却に負の関連があるという報告(Mall & Morey, 2013)が見られている。このような背景から, 本研究では, ネガティブ語の検索誘導性忘却において, ワーキングメモリ容量がどちらの方向で関連するかどうかを調べた。精神的健康と実行機能に負の関連が見られる可能性(e.g. Amir et al., 2009)を考慮し, 本研究では抑うっ傾向, 不安傾向などの影響を統剣した上でネガティブ語の検索誘導性忘却とワーキングタモリ容量の関連を調べた。実験を行った結果, ワーキングメモリ容量とネガティブ語の検索誘導性忘却に負の関連が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
実験参加者の不足を補うため, オンラインで実験できるものは, オンラインで行う。そのための実験ソフトウェアやサーバーの準備を進める。すでに用いる実験ソフトウェアは決定しており, 購入し次第, 実験を開始する予定である。
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