研究課題/領域番号 |
13J03003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 勇哉 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | ACC予想 / 極小ログ食い違い係数 / 特異点理論 / 固定点自由定理 |
研究概要 |
ACC予想に関連して、トーリック多様体の場合と商特異点である場合について、極小ログ食い違い係数を研究した。その後、シンプレクティック多様体におけるフリップの停止問題について、応用を見つけることができた。商特異点をもつシンプレクティック多様体から始めた場合、フリップが無限に続くことがないことを証明することができた。 また、有理点の個数と正標数の特異点との関係について研究した。局所完全交差多様体に対してはKnutsonによって知られていたが、これを一般的な多様体に対して拡張することができた。Knutsonによる証明は組み合わせ論的であり初等的なものであったが、Fultonによる跡公式を使うことで、納得のゆく説明を与えることに成功した。また次数が低い多様体については、重み付の数え上げによって一般化できる可能性を見出した。 また、有限体の代数閉包上定義された3次元代数多様体における団定点自由定理について研究した。この研究は、2013年に発表されたHacon-Xu及びBirkarの論文により、正標数の多様体について固定点自由定理が証明されたことを発端としている。今回の研究では、有限体の代数閉包上定義されている場合には、より弱い条件の下で固定点自由定理が成立することを示すことができた。また、証明の中で、2次元の代数多様体について、固定点自由定理がさらに弱い条件のもとで成立することを証明した。この結果は、有限体の代数閉包以外の体では成立しないという点でも、面白い。また、Hacon-XuとBirkarの証明方法とは異なるという点でも意義があると考えている。弱い条件の下で固定点自由定理を示すことができたので、分類理論に応用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々な計算から、トーリック多様体における極小ログ食い違い係数の振る舞いについて、一つの予想を立てることができた。 その他、有理点の個数と特異点の関係について、納得のゆく説明を与えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
トーリック多様体における極小ログ食い違い係数の振る舞いについて予想を立てた。今後はこの予想の証明に取り組む。また、有理点の個数については、重み付で数え上げるという視点から、一般化を目指す。 前年に取り組んだ、有阻体上定義された3次元多様体における固定点自由定理について、この応用を探すことを目指す。
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