研究課題/領域番号 |
13J03011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
成澤 徳子 京都大学, 東南アジア研究所, 特別研究員(PD)
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キーワード | アフリカ / 女性 / 現金稼得 / 社会的ネットワーク / 贈答慣行 / 祝祭 / 国際情報交換 / ザンビア |
研究概要 |
本研究の目的は、アフリカの農村女性が近年、新たな現金稼得活動を基盤に、いかにして従来の地縁・血縁・姻戚を基礎にした社会関係とは異なる新しい社会関係を形成し、それを活用することで自らの生活の保障や潤いを得ているかを明らかにすることである。ザンビア南部州に暮らすトンガの女性たちによって創出されたヂロングウェ(Cilongwe)と呼ばれる、任意にペアを組んだ女性同士が贈り物を贈答し合い友情の絆を深めるための祝祭(「友情セレモニー」)を主な調査対象としている。 本年度は、昨年度までにザンビアで収集した資料の分析と文献研究を進め、その成果を国内の学会や研究会で発表し、本研究の理論的展開の方向性と現地調査の内容をより精緻に検討することにつとめた。また、ザンビアやラオスの研究をおこなう国内の研究者らと農民の生業と社会的ネットワークに関する研究会を立ち上げ、両国の現地研究機関で研究集会を主催し研究発表した。現地研究者と議論するなかで、トンガ社会における性別役割分業の歴史的変遷と可塑性の再考という重要な課題を得た。 ザンビアとラオスで現地調査も実施した。ザンビアでは北部州や北西部州で広域調査をおこない、トンガのヂロングウェ(「友情」の意の名詞)に類似する人と人との関係性の概念や「友情セレモニー」に類似する女性の活動が、他民族の社会に存在することを明らかにし、比較の視座を得た。南部州の農村では、「友情セレモニー」の展開に関する歴史的背景を探るため、女性個々人にとってのセレモニーの開催理由や相手の条件、先駆者の経験などを中心に聞き取りをおこなった。調査の過程でヂロングウェには多様な社会的関係性が包含されていることも明らかとなった。ラオスでは、異なる民族が暮らす複数の首都近郊農村にて、村びとの生業と女性の社会経済活動に関する短期調査をおこない、ザンビア農村との比較の視座を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた文献渉猟、・現地調査とその分析が順調に進んでいる。その成果は国内外の学会や研究会で発表し、他の研究者との議論のなかで、他地域との比較検討も深まりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の成果をもとに論文の執筆を進めるとともに、ザンビアにおける現地調査を継続しておこなう。研究課題に糠誘轡の展開を棚こ入れ、前年度に築いた国内外の研究者とのネットワークを活かして研究成果の発表につとめる。
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