研究課題/領域番号 |
13J03013
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
根岸 剛文 基礎生物学研究所, 形態形成研究部門, 特別研究員(PD)
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キーワード | 細胞分裂 / 膜構造 / カタユウレイボヤ |
研究概要 |
本研究では、「ホヤ表皮細胞の最終分裂(第11卵割)でみられる新奇な細胞内構造である糸状に形成、中心体方向へ伸長する膜構造の役割を明らかにする。またこの特殊な膜構造の分子的な機構を明らかにする。さらにこの研究を通して、新しい細胞分裂方向制御メカニズムを提唱する。」ことを目的としており、研究計画の平成25年度においては、主に詳細な観察と機能解析のための条件検討を行なうとしており、まず受入研究室設置のスピンディスク型共焦点レーザー顕微鏡により、膜構造の詳細な観察を行なった。この顕微鏡を用いることにより、今まで以上の高精度な観察ができた。注目している膜構造が形成された後も、細かく移動、収縮を繰り返す様子が観察できた。このことから、この膜構造は当初考えていたものより、さらにダイナミックな動きを示す構造であることを明らかにできた。このような観察から、注目している糸状の膜構造は、化学的な反応ではなく、主に力学的な反応で形成される構造なのではないかと推察している。さらに、細胞極性を作り出すことが知られているPCP (Planar Cell Polarity)因子やPar複合体の構成因子をGFPで標識したコンストラクトを作製した。これらのコンストラクトをエレクトポレーション法によりホヤ受精卵へ導入し、発現を観察したところ、現時点でStrabismus (PCP因子の1つ)、Par3及びPar6が注目している糸状膜構造において観察できた。 以上のように、平成25年度においては、詳細な観察を行ない、注目している膜構造が非常にダイナミックな構造であり、これまでに報告されているものと異なり、新奇な膜構造であるという証左を得た。さらに、この膜構造に存在している分子を示唆する結果も得ることができ、機能解析の条件検討を開始することができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画の1年目の目的の1つである詳細な観察は達成され、注目している膜構造が極めてダイナミックなものであることが明らかになった。また、機能阻害についても、膜構造の分子的な基盤を推測できる結果を得ていることから、分子レベルでの機能阻害への足がかりを得たと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画において、平成25年度には、膜構造の機能を調べるために、レーザーによる切断を計画していた。しかしながら、注目している膜構造が想定よりダイナミックな構造であったために、レーザーを膜構造限定的に照射することが極めて困難であった. このことにより、現在までにレーザー切断を用いた膜構造の機能阻害実験を行なうことができていない。今後は、膜構造に存在している分子に注目し、ドミナントネガティブ型の発現などにより、機能を阻害する、また、大阪大学永井研究室で開発された局所的に活性酸素を発生させ、タンパク質の機能を抑制させるSuper Novaにより膜構造先端の機能を抑制することを試みる。
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