研究課題/領域番号 |
13J03016
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹村 和朗 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(DC2)
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キーワード | エジプトの政治・法律 / 2012年憲法 / 沙漠地の所有権 / トシュカ計画 |
研究概要 |
本研究は、現代エジプトにおける沙漠開発――沙漠地の開拓を中心とした複合的な開発現象――を主題として、私的土地所有権など法制度の展開を軸に、国家と社会の関わりを考察するものである。 本年度は、沙漠開発の法制度的側面の解明にっいて、所有権の取得理由を規定する現行民法典や沙漠地の所有権を親定する特別法の読解を行うなど、順調に研究を進めた。 その過程において国の最高法規たる憲法が2012年12月に改正されたことを受け、新憲法(通称「2012年憲法」)の全文翻訳を行い、過去憲法との異同について解説を付した論考をまとめたところ、東京外国語大学附属アジア・アフリカ言語文化研究所のジャーナルに受理された(二回に分けて掲載。「エジプト2012年憲法の読解 : 過去憲法との比較考察(上)」2014年3月、87号、103-204頁。88号は2014年9月発行予定)。この2012年憲法および2013年6月以降のエジプト政治の新展開については、口頭発表(2013年6月、7月に各1回)や一般誌での論考発表(『Asahi中東マガジン』2013年7月、8月、2014年1月に各1回)を行い、研究成果の開示に努めている。 このような法制研究の積み重ねの上、現在、沙漠の私的土地所有権に関わる諸法律の系譜の追跡に取り組んでおり、近日「沙漠地の所有と利用 : 現代エジプトにおける法的展開と二つの汚職事件の事例から」として口頭発表を行う予定である(平成26年5月11日、於日本中東学会第30回年次大会)。 また、第1年度の年次計画に挙げていた大規模沙漠開発事業「トシュカ計画」に関する比較考察について、エジプトの国内的なメディア状況を軸に同事業の歴史的展開を再検討し、論考をまとめた。すでに、学術書出版で知られる風響社のブックレットシリーズ「アジアを学ぼう」(平成26年3月末締め切り、同年10月出版分)に投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現代エジプトの沙漠開発の法制度的側面の解明を目指す本研究にとって, 国の蝦高法規である憲法の理解は不可欠なものであり、本年度に行った2012年憲法研究はその重要な研究基盤になると考えられる。その基盤の上に、沙漠地に関する法展開や、個別の開発計画の研究がそれぞれ進められており、全体として順調な進展と評価される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度に固めた基盤の上に個別の主題に関する研究を進めていく予定である。
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