研究概要 |
本研究では、光の群速度を遅くするスローライト導波路の巨大な構造分散を活用することで、新たな非機械式光ビーム掃引技術の確立及びこの技術に基づく機能デバイスの提案・開発することである. 本技術は, 従来のビーム掃引技術の限界を打破し, 非機械式で, 小型, 高解像度, 高速のビーム掃引を可能とする期待ができる. 平成25年度には, 任意波長帯に対してこの技術の適用性及び偏波無依存の可能性について研究を行った, シミュレーションによる解析, またはデバイス加工による実証を行った. 結果として, 今までと異なる波長に対応するデバイスの作製を成功し, 任意波長帯に適用するデバイスの作製が可能であることを示した. 偏向角が入力光の偏波性に依存する問題に対し, 導波路コアの厚さが最適ではないことを明らかにし, その厚さの最適化によりデバイスを偏波無依存化が可能であることを実証した. また, 今年度には, 初めてこの高性能ビーム掃引技術をベースに, 高精細イメージング素子と新型波長選択スイッチ, 2つ新たな機能デバイスを提案した. その中, 初期実験にもかかわらず, 従来の技術より大幅に超える100出力ポートを搭載可能な波長選択スイッチの作製に成功した. 本研究で実現された巨大な角度波長分散素子は, さらに高密度のアレイ化も可能であり, 自由空間光学系との組み合わせによるスケーラビリティの優れた大規模波長数に対応する超小型光合分波器・波長選択スイッチへの展開が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究成果を踏まえ, 機能デバイス, 特に波長選択スイッチの性能向上を目指す. 具体的には導波路アレイレイアウトの改良, インサーションロスの低減, 波長チャンネル数を増やすなど課題がある, 今年度初期実験で得ていたデータを参考に, 小型化と高性能化の両立の極限限界など検討する予定である, さらに, 掃引デバイスにMEMS構造を集積し, 固定波長でも動作可能なデバイスを検討する予定である. 加えてその実験的検証を行う必要がある.
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