研究課題/領域番号 |
13J03104
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
金 宇大 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 実見調査 / 日朝交渉 / 古墳・三国時代 / 装飾付大刀 / 垂飾付耳飾 / 実測 / 製作技法の検討 / 発掘調査 |
研究概要 |
前年度は、日韓両国での資料の実見調査の実施と、朝鮮半島で出土した垂飾付耳飾の分析を中心に研究を進めた。実見調査は、各地の博物館や資料館を実際に訪れて収蔵庫や展示室から遺物を出してきてもらった上で実施したが、観察と写真を撮影するだけでなく、できる限り実測をして図面を作成しながら、より詳細な検討をおこなうよう試みた。 前年度の国内での実見調査は、主に九州から近畿にかけての西日本を中心に実施した。国内での調査は昨年1年間を通してコンスタントに申請しており、今年度に入った現在も継続中である。一方で国外、韓国での調査は、6月と12月に2度おこなった。韓国の資料については、実見が可能な資料の調査はある程度目途がついており、今年度中に数カ所の研究機関で補助調査を実施すれば終了である。 資料調査を進める一方で、実際のデータの分析も進めた。朝鮮半島東南部出土の耳飾については、韓国語で論文を執筆し、現地の査読雑誌に投稿、昨年12月に刊行された。また、研究会などでの口頭発表を4回おこない、それぞれ異なるテーマで発表することで、資料調査で集めたデータの分析作業をその都度進めるようにした。口頭で発表したいくつかのテーマについては、論文の草稿を執筆している。 8月から9月にかけては、大学の研究室で実施した大阪府茨木市青松塚古墳の発掘調査に参加した。古墳の埋葬主体である横穴式石室内部の調査を担当し、完掘した上で、石室の詳細な構造を確認、図化した。今年度以降、本古墳で出土した遺物の整理を進めつつ、朝鮮半島との関係という側面からこれらの評価を試みることで、研究対象としている古墳時代中・後期という時期の地域間関係を考える上での一つの切り口としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
韓国に投稿した耳飾の論文の体裁調整や修正、査読の対応などに、想定していたよりもはるかに大量の時間をとられてしまい、国内の資料調査をまとまった形で行く機会を何度か逃してしまったため、全体的に少し遅れ気味になっている。
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今後の研究の推進方策 |
従来の研究計画では、もともと分析対象としてきた金属器に加えて、土器を検討対象に追加して検討を進めて行く予定であったが、実際に分析を進めてみたところ、金属器(大刀と耳飾)の検討だけで取り組むべき問題がまだまだ残っていることがわかった。今後の推進の方針としては、これまで通りに大刀と耳飾の実見調査を最優先で実施し、並行して論文を執筆しつつ、状況がさらに遅れるようであれば無理に手を広げて土器の資料集成などに着手せず、対象を金属器に絞った上でより悉皆的な資料調査をおこなうようにしたい。 資料調査は、できる限り前半に終わらせることを目標にし、後半は博士論文の実際の執筆作業に移行する予定である。
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