研究課題/領域番号 |
13J03114
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西内 俊策 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 特別研究員(PD)
|
キーワード | 植物 / 育種学 / 遺伝学 / スベリン / 耐湿性 / イネ |
研究概要 |
本研究課題では、イネの根の外皮への誘導的なスベリン蓄積が、一酸素漏出(ROL)バリアとアポラスティックバリアとして働き、イネの耐湿性と耐乾性に貢献しているという仮説を検証するために、本研究では転写因子OsNAC34を用い、外皮特異的なスベリン蓄積が、イネの耐湿性や耐乾性に与える影響を明らかにすることを目的とした。 本年度はまず、OsNAC34-RNAi系統、OsNAC34-GFP融合タンパク質を発現する形質転換イネの作出を行ない、今後の解析に必要な材料の整備を行った。 次に、イネの野生型とOsNAC34過剰発現体を用いたマイクロアレイ解析を行い、ROLバリア形成時に機能するOsNAC34の下流の遺伝子を探索を行った。その結果、ROLバリア形成時に発現し、かつOsNAC34過剰発現系統において発現が高い遺伝子の選抜を行い、OsNAC34の下流の遺伝子である可能性が高い候補遺伝子を選抜した。 そして、野生型とOsNAC34過剰発現体を材料に、OsNAC34の耐湿性形質への関与を明らかにするために、外皮のスベリン蓄積と酸素の透過性について解析を行った。その結果、OsNAC34過剰発現体イネは、野生型に比べてスベリンが染色される頻度が高い傾向が見られ、スベリンの蓄積が誘導されている可能性が示された。また、根からの酸素漏出量の評価を行ったところ、OsNAC34過剰発現がROLバリアの形成を促進する傾向が見られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題において、当年度の研究計画をほぼ予定通りに遂行出来ている。現時点で得られている研究成果についても、学会誌への発表には未だ追試が必要な点があるものの、概ね期待通りだった。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題において、現時点では研究計画の大きな変更は予定していない。今後も引き続き、当初の予定通り野生型と、OsNAC34形質転換体の表現型の解析を継続し、スベリンの蓄積がアポプラスティックバリアとして機能し、イネの耐湿性に貢献するかどうかの評価を行っていく予定である。
|