研究課題
本研究では、バキュロウイルスのゲノムから転写されている新しいクラスの長鎖非コードRNAのウイルス感染時における機能を解析し、厳密なウイルス遺伝子の転写制御における役割を明らかにすることを目的としている。そのために、バキュロウイルスゲノム由来の長鎖非コードRNAの機能解析を網羅的に実施した。手法としては、個々の非コード転写物に対してプロモーターノックアウトウイルス(PKOウイルス)を構築し、ウイルス遺伝子の発現制御と高次宿主制御との関連を調査することとした。組換えウイルスの作成は培養細胞における相同組換え法を用いて行い、現在までに22種のプロモーターノックアウトウイルスを構築した。次にプロモーターノックアウトウイルスの培養細胞、及びカイコ幼虫における性状を調査した。具体的には、感染細胞において発現している転写産物に対するNorthern解析、出芽ウイルス・多角体の産生量、及び、カイコ幼虫に対する病原性(半数致死時間、および半数致死量)を調査した。これまでに作成した22個のPKOウイルスの解析を行った結果、野生型ウイルスと比較して有意に多角体産生量が低下する1つのPKOウイルスと、経口感染力が消失する2つのPKOウイルスを見出した。これらの結果は、バキュロウイルスの長鎖非コードRNAが遺伝子発現制御や、病原性に影響を与えていることを示すものであった。続けて、それぞれの非コードRNAをコードする領域に対して詳細な解析を行った。その結果、野生型ウイルスと優位に表現型の異なった3つのPKOウイルスは、それぞれ異なった機構でウイルスの増殖・感染性に寄与している事が明らかとなった。得られた結果の一部は学会発表および、投稿論文にて発表した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Applied Entomology and Zoology.
巻: in press ページ: in press
10.1007/s13355-014-0317-4