研究概要 |
まず当初の計画通り、申請者がこれまでに取り組んで得られた、頭頸部癌における臨床研究の結果を国内および国際学会で発表し、英文雑誌に投稿を行い、受理、掲載された(Koyasu S, et al. American Journal of Roentgenology. 2014. Apr ; 202 (4) : 851-8) ついで動物実験モデルでのマルチモダリティーイメージングの条件検討、至適化に着手した。具体的にはまずモデルマウスを用いた灌流CTの造影剤投与条件や至適撮像条件の検討を行い、scanning prptocolの決定を行った。次いで腫瘍モデルマウスを10種類の細胞種類を用いて作成し、その切除標本からモデルとして適する腫瘍細胞種を4種類(U251、ACHN、BxPC-3、CFPAC-1)に決定した。また、腫瘍間質のマーカーとしてαSAMの免疫染色を行い、その結果をもとに企業に研究協力として依頼開発していたワークステーションの解析アルゴリズムの修正を行った。 その後、実際の実験データとして、四種類の細胞種を移植したヌードマウスに対して、潅流CTおよび、^<18>F-FMISOPET/CTを24時間以内に施行して、in vivo imagingを行った。それらの腫瘍切除後の標本に対してHE染色と、腫瘍間質に相当するαSMA染色に加えて、血管内皮細胞、低酸素細胞に相当するCD31とpimonidazoleの蛍光多重染色を行い、in vivo imagingの画像所見との対比を行った。 定性的な評価では、腫瘍間質の豊富さと低酸素細胞の量の関連性は一般的な仮説とは異なる結果であり、間質量の多い腫瘍はむしろ低酸素細胞が少ないことがin vivo imaging, 病理組織学的検討の両方で示された。これらの結果は皮下腫瘍モデルを用いたものであるが、移植腫瘍と発癌腫瘍とでは組織構築が大きく異なる可能性があるため、発癌腫瘍モデルでの検討が必要と考えられたため、すでに文献では報告のある膵癌自然発癌モデル(KPCマウス)を京都大学消化器内科学講座との共同研究で入手し、交配を開始している。なお、皮下腫瘍モデルでの結果は、他の研究者との情報交換も重要と考えたため、米国核医学・分子イメージング学会(2014年6月開催予定)に投稿し、採択が決定している。
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