研究課題
タンパク質の立体構造を決定する方法のひとつに溶液NMR法がある。通常の方法では、溶液NMR法による構造決定が可能なのは、分子量が3万に満たない程度の小型タンパク質に限られる。本研究では、現在の溶液NMR構造解析の分子量限界を大きく超える分子量10万以上のタンパク質に適用可能な溶液NMRによる立体構造解析法の開発、および開発する方法を用いた分子量約11万の「フロリゲン/受容体/転写因子/DNA」4者複合体の立体構造決定を目指している。平成26年度には、高分子量タンパク質でもNMRにより測定可能な常磁性緩和促進(PRE)情報の構造決定に対する効力を検討した。通常の溶液NMRによる構造決定は、核オーバーハウザー効果(nOe)から得られる距離情報を用いて行われるが、十分な数のPRE距離制限を用いることで、nOe距離情報が不足していても、高分解能構造が決定できることが分かった。また、PRE距離制限の数が多いほど、より構造が改善することが分かった。また、「フロリゲン/受容体/転写因子/DNA」4者複合体のうち、受容体のNMR解析を行った。受容体は分子量約5万と、それだけでも溶液NMRで解析をするには高分子量である。しかしながら、サンプルに重水素ラベルを施し、高分子量タンパク質の観測に適したTROSY法を用いることで、良好な2次元スペクトルを得ることができた。さらに、主鎖NMR信号の帰属を行うため、一連の3次元NMR測定を行った。これらの測定では、TROSY法に加え、非線形サンプリング法を用いることで感度の増大を試みた。その結果、解析可能な良好な3次元スペクトルを得ることができた。
本研究課題は平成26年度9月30日に完了したため、記入しない。
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The Journal of Biological Chemistry
10.1074/jbc.M114.603282