研究課題/領域番号 |
13J03284
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
菅野 里美 神戸大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD) (20586010)
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キーワード | リン酸 / イメージング / リン酸輸送体 / 根 |
研究概要 |
第一年度は、申請内容の年次計画に基づき、(1)植物材料の準備および栽培条件の決定、(2)-1根のリン吸収と転流観察のためのイメージングの試み、(2)-2根の切片での^<33>Pイメージング方法の習得を行った。また、(3)次年度の計画としていたリン酸応答制御に関わる因子の選抜し、解析対象とする遺伝子を絞り込みプロモータGFPラインによる発現局在解析に着手した。 まず、イメージングでは、根のリン吸収と蓄積について顕微鏡下での^<33>Pイメージングを試みた。また、転流機構を調べるために葉や根の一点に^<33>Pを施与した際の挙動についても同様のシステムによりイメージングを試みた。上記の実験から・最適なイメージングを行うために必要な^<33>P量、観察時間等の基本的情報が得られた。上記のイメージングは・根の片側面より^<33>P動態を検出することができるが、根の内部の^<33>P分布を理解することは難しい。しかし、輸送体遺伝子は、根の内部組織への発現局在もあるため、根断面のリン分布も合わせて理解したいと考えている。そこでミクロオートラジオグラフィーの手法を共同研究先(東京大学・中西研究室)にて試みたが、さらなる手法の検討が必要な結果となった。根端は、^<33>Pの集積が多く、この集積の意味するところについて今後の研究を進めることにした。根で働くリン酸輸送体の種類と発現量について先行文献からの情報整理を始めた。また、各リン酸輸送体の機能解析の為、完全長cDNA配列をリソースバンクから集めた。 次年度、輸送体も含めたリン酸応答制御に関わる因子をマイクロアレイの結果より選択する予定でいたが、所属先研究室の蓄積データが目的に合致したため、そこより候補を選ばせて頂くこととした。その機能の詳細を調べるため、プロモータGFPの局在観察の実験を開始したところである。また、ターゲット遺伝子の遺伝子欠損株について表現型の観察、リン酸輸送体遺伝子発現量比較等の実験を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画で予定していた順序とは異なるものの、リン酸イメージングデータにおいてリン酸集積がみられた根端部位に解析対象を絞り、顕微鏡レベルでのリン酸の輸送解析、集積したリン酸化合物の測定手法の予備実験・根端で発現誘導されるターゲット遺伝子の選定まで行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
シロイヌナズナ、ミヤコグサのリン酸輸送機構については、今後も^<33>Pイメージングとリン酸輸送体の種類と局在から研究を進めて行く。また、シロイヌナズナのリン酸輸送体の機能に関する先行研究から得られる情報が不足していると感じたことから、シロイヌナズナのPht family遺伝子の個々のリン酸輸送能について酵母を使った実験を追加することにした。一方で、リン酸を施与した場合にリン酸集積が顕著に見られた根メリステム組織に注目し、その組織でめリン酸量の経時的変化を調べ、リン酸により発現誘導されるターゲット遺伝子(BT family遺伝子)のレポーター遺伝子の発現局在を調べる。また、昨年の先行研究により、この遺伝子が窒素栄養機構において働く転写因子のターゲットタンパク質であることが分かった。今後は、リン酸応答におけるBT遣伝子の上流制御因子の車離も視野にいれて研究を進めることとした。
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