研究課題
「テーマ① : EGCGセンシングの分子基盤の確立」緑茶カテキンの主成分であるEpigallocatechin-3-O-gallate (EGCG)センシングの分子基盤を確立するために、これまで不明であったEGCGの67LRを介した抗メラノーマ作用機構を明らかにした。この新しい作用機構は、メラノーマの既存抗がん剤が「増殖シグナルをONにする酵素を抑制する」ものであることに対し、EGCGは「増殖シグナルをOFFにする酵素を活性化する」ことで抗腫瘍効果を発揮していることから、メラノーマ治療における全く新しい観点からの標的になりうると考えられる。その詳細をまとめた論文は近日中に報告する予定である。「テーマ② : EGCGセンシングの生体内イメージング」これまでの機能性食品に関する研究の多くは、生理的な濃度を無視した条件下で行われるが、近年ではより生体に近い条件で検討し、生体内で真に起こりうる現象を把握することが強く求められている。そこで本研究では、緑茶カテキンEGCGにより誘導される分子メカニズム情報を基盤とし、そうした変化を生体内でリアルタイムに観察するという新たな評価系の確立を同的とした。プルダウン法を用い、EGCGの細胞増殖抑制作用を仲介する二つの分子が直接相互作用を示すことを明らかにした。リアルタイムに細胞内のタンパク質相互作用を評価できる生物発光共鳴エネルギー転移(BRET)システムを利用し、この二分子がそれぞれ「ルシフェラーゼ」、あるいは、「GFP」が付くタンパク質を同時に定常的に発現する細胞の構築に成功した。
2: おおむね順調に進展している
EGCGセンシングの分子基盤としてEGCGの67LRを介した抗メラノーマ作用機構を明らかにした。また生体内イメージングに用いる細胞の構築にも成功し、予定通り進展しているといえる。
「テーマ① : EGCGセンシングの分子基盤の確立」に関して、今後は67LR下流に直接そのシグナルを伝達する因子の同定及び経路の解明を目指し、「テーマ② : EGCGセンシングの生体内イメージング」に関して構築した細胞を用いin vitroにて評価を行い、さらにin vivoにおけるイメージングも試みる。
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