研究課題
緑茶カテキンの主成分である(-)-epigallocatechin-3-O-gallate(EGCG)は、多彩な生体調節作用を示す。EGCGの細胞膜上におけるセンサー分子として67-kDa Laminin Receptor(67LR)が発見されて以来、抗がん作用を始めとするEGCGの様々な機能性発現(EGCGセンシング)に67LRが関与することが示されてきた。そこで本研究では、EGCGセンシングの分子的基盤を明らかにすることを目的とした。「EGCGの慢性骨髄性白血病細胞致死作用の分子機構」EGCGは慢性骨髄性白血病細胞に対してアポトーシスを誘導する。その作用機構の解明にあたり、アポトーシス誘導に関わるシグナル伝達の場としての脂質ラフトに着目した。EGCGが脂質ラフトに与える影響を検討した結果、EGCGは脂質ラフトの会合を誘導することを見出した。また、EGCGによるアポトーシス誘導において、cGMP産生を介したProtein kinase Cδならびに酸性スフィンゴミエリナーゼ(ASM)の活性化が重要であることを明らかにした。「EGCGのがん特異的な抗がん作用の増強」多発性骨髄腫(MM)において67LRが高発現しており、EGCGはMM細胞に対して特異的にアポトーシスを誘導することが知られている。EGCGのアポトーシス誘導にはASM誘導性のセラミド産生が重要であるが、セラミドは様々な代謝調節を受けている。そこで、セラミド代謝関連酵素の発現について検討したところ、セラミド分解酵素の一種であるスフィンゴシンキナーゼ1(SphK1)がMM細胞で高発現していることを明らかにした。また、SphK1の阻害剤はEGCGのMM特異的なアポトーシス誘導作用を保持したまま、その活性を顕著に強め、骨髄腫細胞を移植したマウス腫瘍モデルにおいても肝毒性を示すことなく腫瘍成長を抑制することを明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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