研究課題/領域番号 |
13J03438
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 優太郎 名古屋大学, 現象解析研究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 素粒子物理 / 加速器実験 |
研究実績の概要 |
昨年度末に、実験家と理論家が議論して、Belle II 実験の物理的成果を高めていくための組織”Belle II Theory Interface Platform (B2TiP)”が立ち上がった。本年度はB2TiP に参加する形でTOP カウンター、Bell II 測定器の完成した後のBelle II 実験によって得られる物理的成果を最大化するための研究を進めた。 一般に公開されている理論計算プログラムコード”SuperIso”と自ら開発した統計処理のプログラムコードを組み合わせることで、標準理論を超えた新しい物理に対して、Belle II 実験の結果によってどれだけ探れるかを調べた。本年度は標準理論を超えた新しい物理としてtype-II 2HDM とMSSM という2 つの理論模型を想定して、研究を進めた。 複数の実験結果を合わせることで新物理への感度が高くなることを確認した。得られた研究成果は、ATLAS Belle II 研究会、TYL-FJPPL mini-workshop on LHCb-BelleII-ILC interplay、New Physics at Belle II Workshop で口頭発表し、逐次、理論家・実験家の両者と議論を交わしながら研究を進めている。本年度末からはB2TiP の中にある9 つのワーキンググループの内の1 つのワーキンググループのコンビナーを務めていいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は一つの理論計算プログラムコードを活用することによって、Belle II 実験によって得られる物理的成果の見積り手法を確立した。複数の実験結果を合わせることで、予想通り標準理論を超えた新しい物理(type-II 2DHM, MSSM) への感度が高くなることを確認することができた。さらに、現在の測定精度とBelle II 実験での予想測定精度をまとめ、標準理論を超えた物理に関してBelle II で探索できるパラメータスペースを評価することができた。 以上から、順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は一つの理論計算プログラムコードを活用することによって、研究を進めたが、利用したコード以外にも別の特徴を持ったコードが存在する。特徴の違いとしては、想定している標準理論を超えた新物理の模型にと違い、想定している実験観測量の違いが挙げられる。今後は他のコードも活用、もしくは組み合わせて利用していくことを検討する。 統計処理コードに関して、現在はもっともシンプルな手法を用いているため、改良を行っていく予定である。 標準理論を超えた物理として様々な模型が考えられている。本年度は2 つの模型のみを考えて研究を進めたが、今後はBelle II の探索感度が高い模型などベンチマークとなるモードを理論家と協力して決めていく必要がある。
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