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2013 年度 実績報告書

軟体動物オーガナイザーの分子的基盤および進化的変遷の解明

研究課題

研究課題/領域番号 13J03454
研究機関九州大学

研究代表者

栗田 喜久  九州大学, 農学研究院, 特別研究員(PD)

キーワード腹足類 / 二枚貝 / トランスクリプトーム / リン酸化MAPキナーゼ
研究概要

軟体動物のオーガナイザーは体軸や頭部領域を決定し、32細胞期に形成される3D割球がその機能を担っていることが知られている。しかしどのような遺伝子が実際に3D割球にて機能しているのかは不明である。軟体動物の胚発生においてオーガナイザーとして機能する遺伝子の探索のため、今年度は①カサガイ、ピザラガイ、二枚貝の初期胚の採取、②腹足類(カサガイや巻貝などの仲間)でオーガナイザーとして機能することが知られている唯一の分子であるリン酸化MAPキナーゼの腹足類以外の軟体動物での発現の検証、③カサガイの一種クサイロアオガイをもちいてmRNA-seqを行い、32細胞の前後で発現量の変化する遺伝子の探索、および同様の手法を用いて④リン酸化MAPキナーゼ阻害胚における遺伝子発現の変化、について実験を行った。その結果、まずクサイロアオガイ・ピザラガイ・マガキ(二枚貝)各種で胚の採取に成功し、これらの胚を用いてリン酸化MAPキナーゼの発現を免疫染色により観察したところ、いずれの種でも3D割球においてリン酸化MAPキナーゼの局在が示された。この結果は、リン酸化MAPキナーゼを介したオーガナイザー機能の経路が軟体動物に共通する可能性を示唆している。mRNA-seqには受精後2時間(8細胞期)、4時間(32-64細胞期)、6時間(原腸胚)各発生段階の正常胚およびリン酸化MAPキナーゼ阻害胚から抽出したmRNAを用い、現在配列を解析中である。今後、mRNA-seqから得られた結果を用いて遺伝子の発現量比較などを行うとともに、現在同じく解析中のDNA-seqの結果とあわせてゲノムデータベースを構築する。このデータベースをレファレンスとして、来年度行うプロテオミクス解析から得られた32細胞期前後で発現量の変化するタンパク質の同定を行うことが可能となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では、今年度はプロテオミクス解析を軸に研究を進展させる予定であった。しかしその後の外部資金獲得により次世代シーケンサーをもちいたトランスクリプトームおよびゲノム解析に重点を置き実施したため、プロテオミクス解析自体は予定より遅れている。しかし当初予定になかったこのゲノミクス解析により、mRNAとタンパク質双方からのクロスオミクス的な候補分子探索が可能となることから、全体としておおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

トランスクリプトーム解析を実施したことで、今後32細胞期前後およびリン酸化MAPキナーゼ阻害による遺伝子の発現量解析を今後実施していく。その上で必要となるバイオインフォマティクス解析に関してはOISTマリンゲノミックスユニットの竹内博士と共同で実施することで、技術面や作業努力量において問題なく遂行可能だと考える。

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公開日: 2015-07-15  

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