研究課題/領域番号 |
13J03594
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石渡 拓己 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 二次元ポリマー / 多孔性配立高分子 / 架橋 / 単層薄膜 / 高分子ゲル / 異方性 / 膨潤 / 周期性 |
研究概要 |
本研究ではジカルボン酸型有機配位子、ビピリジル型のピラー配位子、及び銅イオンが錯体を形成することで構築され、異方的な結晶構造を有するピラードレイヤー型多孔性配位高分子を鋳型として用い、この有機配位子に固定化した架橋点を内部架橋することで単層の二次元ポリマーを作製することを目的としている。今年度はまず、本研究の基本的な知見を得るため、二点アジド基を有するターフェニルジカルボン酸型有機配位子、4,4'-ビピリジル、及び硝酸銅三水和物を用いてアジド基を異方的に有するピラードレイヤー型多孔性配位高分子を作製した。これに対して四点プロパルギル基を有する架橋剤を用いてクリック反応により架橋した後、これの配位結合を、塩酸水溶液を用いて分解したところ、ピラードレイヤー型多孔性配位高分子は高分子ゲルに変換された。さらに、高分子ゲルの良溶媒であるジメチルホルムアミドに浸漬したところ、異方的な膨潤挙動を示した。これは、異方的な結晶であるピラードレイヤー型多孔性配位高分子の骨格中に異方的に配列されたアジド基間を架橋することで、短軸、及び長軸方向に架橋密度の疎密が生じたためと考えられる。従来の高分子ゲルはランダムにモノマー間を架橋して作製されるため等方的な膨潤挙動を示すのが一般的であり、これと比較すると本研究で作製された異方膨潤を示す高分子ゲルは特異的である。この異方的な膨潤挙動を示す高分子ゲルの評価を進めると同時に、本研究より得られた知見を活かし、二次元ポリマーの作製を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二次元ポリマーの作成の参照実験を行った結果、異方的な膨潤挙動を示す特殊な構造を有する高分子ゲルの作成ができた。これは目的の二次元ポリマーとは異なるものであるものの、興味深い物性を有していることが期待されることから、今後評価を進める予定である。また、これらの知見は二次元ポリマーの作成につながるものになると考えており、二次元ポリマーの作成に活用するつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
目的の二次元ポリマーを作成するにはアジド基を有する平面同士の距離を十分に大きくすること、及び平面の内部のアジド基を選択的に架橋しうる小さい架橋剤を用いることが必要であると考えられ、4,4'-ビピリジルより長いピラー配位子を用いること、及び小さく剛直な分子構造を有する架橋剤を使用することを検討する予定である。
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