研究課題
周期生物とは2年以上の決まった周期で集団が一斉に繁殖を行ない、死んでしまう生物である。本研究課題では、6年周期で一斉開花・枯死するコダチスズムシソウを材料に、周期植物の進化史を解明することを目的として、理論研究と実証研究を平行して行うことにより、研究を進めた。理論研究として、コダチスズムシソウの周期的一斉開花の進化要因を理論的に検証した。一斉開花の進化要因として有力とされる捕食者飽和説、受粉効率説に加え、新たに提唱した「近縁種との繁殖干渉仮説」について、数理モデルを作成し、シミュレーションを行った。その結果、一斉開花の同調性の進化には捕食者飽和説、受粉効率説の両方が貢献しうる一方で、同調性の獲得よりも広範な条件で同調性が維持されることが示唆された。さらに、繁殖干渉が存在する場合には、コダチスズムシソウが6年開花型に進化することで近縁種と共存可能になった可能性が示唆された。実証研究として、野外調査、遺伝的な解析を行った。沖縄県での野外調査を7回、台湾での野外調査を2回行い、生活史の観察、訪花昆虫調査、種子食害率調査、遺伝的解析用サンプルの採集などを行った。これまでの生活史の観察から、沖縄本島のコダチスズムシソウとは異なり、八重山諸島では一斉開花せず、開花後にほとんどの個体が枯死するが少数の個体は生存していた。さらに、台湾では一斉開花せず、多くの個体が開花後も生存したことから、種内でも地域間で生活史に多型が存在することが明らかとなった。また、これまでの野外調査からの予測通り、2015~2016年の冬にコダチスズムシソウの一斉開花が観察され、コダチスズムシソウと近縁種オキナワスズムシソウの繁殖干渉の有無を検証した。遺伝的な解析では、RAD-seqを行い、集団間、ブルード間に加え、地域間(沖縄本島、八重山諸島、台湾)の遺伝的な分化を検証した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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