研究課題/領域番号 |
13J03687
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福成 雅史 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
キーワード | ビーミング推進 / ロケット / 空気吸い込み式エンジン / パルスデトネーション / リード弁 / マイクロ波電力 / マイクロ波電力伝送 / テーパ管 |
研究概要 |
マイクロ波ロケットのエンジンサイクル間の吸気率が低いと高温希薄なガスが推進機内部に残留し推進機性能が低下する. 推進機の吸気性能改善のためリード弁を用いた吸気機構の開発を行った. 十分な吸気量を得るために、リード弁のサイズを大きくし開口面積を増やした. 同時に塑性変形を防ぐためリード弁先端に向かって薄く細くなるリード弁を設計した. マイクロ波を長距離伝送するため伝送ミラーと機体に搭載するテーパ管からなる伝送系の開発を行っている。伝送ミラーの開発は昨年度までに終了している. 今年度はテーパ管で受電したビーム電力分布の偏りを抑制するために、多角形型のテーパ管を開発した. 実際にジャイロトロンを用いて開発した吸気機構と伝送系の試験を行った。吸気機構の試験では推進器内部の圧力振動に対しリード弁が設計通りの固有振動数で開閉し吸気が行われていることを確認した。またリード弁からの吸気による冷却効果によって推進器内部の衝撃波の伝搬速度を低減できた。しかしリード弁のエッジや取り付けのための内部構造で異常着火が多発したため、内部構造やリードエッジを滑らかにするなど対策が必要である。伝送系の試験では開発したテーパ管を用いてマイクロ波を推進器内部に導いてプラズマの着火・電離波面の伝播に成功し、ビーム電力分布の偏りも解決できたが、推進器内部ピーク電力密度が低くデトネーションに至らず推力性能の低下したため、今後、ピーク電力密度を保ちつつ滑らかな電力密度分布を実現できるテーパ管を、実験・解析の両方から設計していく。これらに加え、この試験から繰り返しパルス運転可能なマイクロ波照射デューティ比が0.2程度までであることが分かった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
打ち上げ試験のおいて主要な技術であるリード弁を用いた吸気機構及びテーパ管によるマイクロ波長距離伝送系の基本的な設計が完成した。さらにジャイロトロンを用いた試験により現状の問題を明らかにできた。
|
今後の研究の推進方策 |
吸気機構の開発に関しては異常着火を防ぐため内部構造やリードエッジの形状、リード弁の取り付け方法など工夫する。またさらに軽量化も行っていく。 伝送系に関してはピーク電力密度を保ちつつ滑らかな電力密度分布を実現できるテーパ管を、実験・解析の両方から設計していく。また電力密度分布が推力性能に影響を与えることが明らかになったので最適な電力密度分布についても解析を進めていく。
|