研究課題
損傷認識タンパク質DDB2 (XPE) は、皮膚がんの高発を特徴とする遺伝病である色素性乾皮症E群の原因遺伝子産物であり、紫外線によって生じる主なDNA損傷である6-4光産物およびシクロブタン型ピリミジン二量体 (CPD) に対して特異的に結合し、ヌクレオチド除去修復反応の開始に寄与する重要な因子である。DDB2のN末端テール領域が担う機能を調べるため、N末端領域に存在する7か所のリジン残基に変異を導入したDDB2を、ヒト正常線維芽細胞に安定発現させることでさまざまな変異DDB2発現株を樹立した。これらの細胞株は損傷修復活性とは独立して、変異の種類に応じて細胞がさまざまな紫外線感受性を示すことがわかった。そこで、DDB2のN末端領域のリジン残基を介して相互作用因子と協調して細胞の紫外線応答に関わっているのではないかと考え、DDB2の新規相互作用因子の探索を行うことにした。二重タグを融合した野生型あるいは上記で用いた変異DDB2をHeLa細胞に安定発現させ、二重タグDDB2発現細胞株を樹立した。この細胞株を大量培養した後、相互作用因子を含むDDB2複合体を単離し、質量分析により複合体に含まれる構成因子の同定を行った。その結果、野生型DDB2および変異DDB2に特異的に結合する新規相互作用因子を多数同定した。一方、全てのDDB2に含まれている新規相互作用因子としてクロマチンリモデリング因子のサブユニットやアポトーシス関連因子を同定し、これらの因子はN末端領域の変異により相互作用が減弱した。ここで同定されたサブユニットをsiRNAにより発現抑制したところ、細胞はCPD修復速度の低下を引き起こした。本研究から、DDB2がさまざまな相互作用因子と協調して働き、既知の紫外線損傷認識としての機能に加えてアポトーシス制御やクロマチンリモデリングといった新たな機能を担う可能性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nucleic Acids Research
巻: 3 ページ: 1700-1713
10.1093/nar/gkv038