研究課題
リンパ管内皮マーカーのD2-40(Podoplanin)に注目し、当教室で樹立した膵星細胞を癌関連線維芽細胞(Cancer Associated Fibroblast: CAF)として用いた解析により、Podoplaninを発現しているCAFが、浸潤膵臓癌の悪性化に寄与していており、非常に有効な治療ターゲットとなる可能性があることが示唆された。それに引き続き、膵臓の前癌病変のひとつである膵管内乳頭粘液腫瘍(Intraductal papillary-mucinous neoplasm: IPMN)に注目して癌間質相互作用についての研究を行った。IPMNはadenoma-carcinoma sequenceが提唱されている腫瘍で、その手術適応やfollow-upの流れについて調査、議論がなされており、2012年にIPMN managementについての国際ガイドラインが改訂された。ガイドラインにて、諸検査上の”worrisome features”の一つとしてIPMNの壁肥厚があげられいる。これに着目して病理学的な壁の厚さとPodoplaninにより染色される壁の厚さ、さらに浸潤癌となった場合のCAF中のPodoplanin発現を膵臓癌と同様に調査した。結果として、adenoma-carcinoma sequenceに従って壁肥厚は増強し、それに伴いPodoplaninに染色される壁肥厚も増強されていた。さらに浸潤癌となった場合、間質CAF中のPodoplanin発現細胞の増加は、予後不良因子であった。IPMNにおいても癌間質相互作用が存在し、さらに前癌病変の時点から上皮-間質間での相互作用が始まっている可能性が示唆された。この所見は、膵臓癌において、初期の段階からPodoplaninを発現する線維芽細胞をも標的とする治療の有効性の証明として、非常に重要である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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