本研究では、濡れ性を制御したメソ多孔体中の水の解析を行い、多孔体中の水の状態と金属イオン吸着脱離特性に関する相関を得ることを目的としている。細孔内壁に対し官能基修飾を行い、内壁表面の濡れ性制御を行う。多孔体材料の細孔は、あらかじめ母材中に導入された鋳型を取り除くことによって作られるものであり、本研究では鋳型として働く分子に官能基を付与しておくことにより、分子インプリンティングの概念に基づいて母材側に対となる官能基を与え、細孔内壁表面の特性を制御することを計画した。そこで平成25年度は有機高分子材料への官能基付与に関する研究を実施した。液相中でプラズマを発生させることよって生じる種々の活性種によって化学反応を進行させる技術である、ソリューションプラズマプロセッシングを用いて官能基付与を行う。本年度、硫酸中において発生させたプラズマを用いて、鋳型として用いることを想定し、アルギン酸カルシウムビーズに対するスルホ基導入を試みた。赤外吸収分光分析によって得られたデータから、硫酸処理によりアルギン酸カルシウムビーズにスルホ基が導入できることが示された。またソリューションプラズマ処理により、スルホ基導入率が向上することが示され、スルホ基導入に対してのソリューションプラズマの有用性が示された。また、ソリューションプラズマ反応場によって生じる各活性種がスルホ化反応を進行させたプロセスについて発光分光法を用いて分析、検討した結果、プラズマによって生成されたH・によってS・が生じ、スルホ基導入が進行したと考えられた。これらの結果は、メソ多孔体への官能基修飾に有用な知見を与えるものである。また、水の解析のため、通常の水を無視し、特異的な水を選択的に検出する赤外分光法測定システムを構築する必要があり、本年度はその計測準備も行った。
|