研究課題
内在性レトロウイルスは、ヒトでは全ゲノムの8%を、マウスでは10%を占め、その発現制御は個体発生や胎盤の形態形成において機能的に非常に重要であることが、近年明らかとなってきている。本研究は、胎盤形成における内在性レトロウイルスの役割を明らかにすることを目的とし、新規の内在性レトロウイルス由来転写産物および蛋白質を同定し、その機能について明らかにしようとするものである。本研究では、胎盤形成初期の胚着床時に母体側の子宮上皮で発現が増加する、内在性マウス白血病ウイルスのenv遺伝子由来の転写産物に着目した。胚着床時の子宮上皮での機能解析を行うにあたり、in vivoでの解析は欠かすことが出来ないことから、派遣先研究機関での新たなCreリコンビナーゼ発現マウス系統の作製と解析に携わった。子宮特異的にCreリコンビナーゼを発現するマウス系統は、プロジェステロン受容体プロモーターを用いたPR-Creマウスをはじめとしていくつか存在するが、子宮上皮特異的にCreリコンビナーゼを発現するマウスの系統はこれまでにいなかった。新たな系統は、内在性のラクトフェリンプロモーターによりCreリコンビナーゼを発現するノックインマウスであり、発情周期開始後に子宮上皮特異的にCreリコンビナーゼを発現した。さらに、R26Rマウスとの掛け合わせにより、子宮上皮特異的にコンディショナルな遺伝子欠損マウスを作製できることを明らかにした。また、既知のfloxマウスとの掛けけ合わせにより、発情周期開始後に子宮上皮特異的に特定の遺伝子の発現を抑え、遺伝子の機能解析が行えることを明らかにした。
本研究課題は平成27年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Endocrinology
巻: Jul;155(7) ページ: 2718-24
10.1210/en.2014-1265
American Journal of Pathology
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