研究概要 |
本研究の目的は, 日本企業における取締役会改革, 特にその発端となった執行役員制度に注目して, 1990年代後半に始まった取締役会改革以後における各企業の取締役会の構成がどのように変化したのか, その変化は当初意図されていたものと整合的であったのか, 整合的でないとすればどのような要因がその違いを説明するのか, を明らかにすることにある. 上記の目的を達成するために, 平成25年度においては主に, データの収集を中心に作業を進めてきた. 作業を順調に進めることができた結果, 当初計画していたデータ収集は既に完了している. より具体的には, 1990年から2013年における, 日本の大企業391社の有価証券報告書及びコーポレート・ガバナンスに関連する新聞・雑誌記事を収集し, 当該企業の取締役会の構成及び取締役会に関わる一連の経営慣行の導入状況を整理したデータセットを完成させている. 本研究の一部は, 平成25年度中に論文としてまとめるに至ったため, 既に英語専門学術雑誌(Journal of Management Studies)に投稿しており, レビュー・プロセスに入っている. 専門学術雑誌への投稿が即座に掲載を意味するわけではないが, 研究の成果は着実に形になりつつある. また, これらの作業を行うと同時に, アリゾナ州立大学W. P. カーリー校のマネジメント学科において, 訪問研究員として, Glenn Hoetker准教授と共同研究も行っている. そこでは主に, Glenn Hoetker准教授と日本企業に関する共同研究を行い, 英語専門学術雑誌への投稿及び掲載を目指している. 日々, 着実に作業を進めており, 共同研究を始めてまだそれほど月日は経っていないが, 既に初稿の執筆を終えている等, 成果も現れつつある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたデータの収集を完了しており, 計画通り研究を進めることができている. また, 本研究の最終的な目標の一つは, 本研究の研究成果を国際的に評価の高い学会及び専門学術雑誌において発表及び公刊することであるが, 既に, 本研究の成果の一部を専門学術雑誌に投稿できている点も, 本研究がおおむね順調に進展していることを示している.
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今後の研究の推進方策 |
本研究において既に収集したデータは, 日本企業における取締役会の現状については包括的に捉えており, どのような変化が日本企業において生じたのかを明らかにしている. しかしながら, なぜこのような変化が生じたのか, その変化は企業ごとに異なるのはなぜか, といった問いに答えるためには, 理論枠組みを用いた説明が必要である. まだ充分にそれを確立するには至っていないが, マクロ組織論における制度論(institutional theory)といった理論を中心に, 現在, その作業を進めており, 今後も継続していくことで, 最終的にそれを構築する.
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