研究課題/領域番号 |
13J03764
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高田 健司 北海道大学, 総合化学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有機分子触媒 / リビング重合 / グループトランスファー重合 / 特殊構造ポリマー / 末端官能基化 / 星型ポリマー |
研究実績の概要 |
本研究では、新規に合成した開始剤を用いたグループトランスファー重合により特殊構造ポリマーの精密合成を行い、得られたポリマーの物性評価により、高度な機能性を有する材料の開発を目的とした。 本年度 (平成 26 年度) は、前年度に引き続き、特殊な構造を有するポリマー合成について検討を行った。実際にはポリマーの開始末端に官能基 (水酸基、エチニル基、ビニル基、ノルボルネン) を導入可能な開始剤を、ポリマーの停止末端に官能基 (エチニル基、ビニル基、水酸基、ブロモ基) を導入可能な停止剤を合成した。これらの開始剤・停止剤はアクリレートモノマーのグループトランスファー重合に適応可能であり、構造が精密に制御されたポリマーの合成が可能であることを明らかにし、定量的なポリマーの末端官能基化の方法を確立した。これらの達成により、アクリレートポリマーの開始・停止末端および両末端に様々な官能基を導入することができ、ブロックコポリマーの合成やポリマーの末端修飾など学術的・工業的にも非常に有用なポリマーが合成可能となった。 さらに、本年度は複数のモノマーユニットから成るブロックコポリマーの合成についても検討を行った。異なる種類のモノマーユニットを有するブロックポリマーの合成は、その配列を制御することにより特異的な物性を示すことから精密重合による構造制御が数多く検討されている。本研究で取り扱うグループトランスファー重合は副反応なく進行することからこれらのブロックポリマーの合成に適していると考え検討を行った。その結果アクリレートモノマーを順に添加するという、簡便な方法により配列が制御されたブロックポリマーを合成可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、官能基を有した開始剤停止剤を用いた、高分子の精密重合系を確立した。さらに適用可能モノマーの検討により重合系の汎用性を見出し複数のモノマーユニットから成るマルチブロックポリマーの合成を達成した。以上の成果から現在までの達成度はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、星型や大環状ポリマーなどの合成法を詳細に検討し、構造が精密に制御されたポリマーの合成を目指す。特に、開始剤構造の検討により星型ポリマーを合成可能な分子構造を決定することができたため、多数の分岐構造を有するポリマーの合成について重点的に行う予定である。また、これまでの研究により合成された特殊構造ポリマー、例えば、末端官能基化、ブロック、星型、大環状ポリマーなどの物性を評価し、直鎖構造のポリマーと性質の違いを明らかにする。
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備考 |
北海道大学大学院・総合化学院・高分子機能化学研究室ホームページ http://poly-bm.eng.hokudai.ac.jp/
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