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2014 年度 実績報告書

遺伝子改変ラットおよびマウスの生理解析による卵胞発育・排卵中枢の同定

研究課題

研究課題/領域番号 13J03885
研究機関東京大学

研究代表者

中村 翔  東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードキスペプチン / GnRH / パルス / サージ / 性分化 / ノックアウトラット
研究実績の概要

本研究は、視床下部に発現し、GnRH分泌を促進するキスペプチンに注目してしる。視床下部弓状核(ARC)のキスペプチンニューロンがGnRHパルス中枢で、前腹側室周囲核(AVPV)のキスペプチンニューロンはGnRHサージ中枢と考え、この二カ所に局在するキスペプチンニューロンの生理的機能を明らかにすることを目的に以下の研究を行った。
1.平成26年度までに、Kiss1 KOラットの連続採血によりキスペプチンはGnRHパルスおよびサージに必要不可欠であることが明らかになった。また形態学的解析により、キスペプチン性差の形成に関わっていることが示唆された。平成26年度は、キスペプチンによる性差形成メカニズムについて性行動解析を中心に研究を進めた。Kiss1 KOラットのオスはマウントを示さず、ロードシスを盛んに示した。Kiss1 KOラットオスの性行動中枢はメス型であることが示唆された。
2.すでに作出されたKiss1-floxedマウスのARCあるいはAVPVへ脳定位固定装置を用いてCre遺伝子を発現するアデノ随伴ウイルスを投与した。Creと共発現するGFPの蛍光をもとにウイルスの感染領域等を評価した。今後は発現条件を検討しながらARCあるいはAVPV特異的キスペプチン欠損マウスの作出を試みる予定である。
3. 昨年度までにCreリコンビナーゼにエストロジェン受容体が融合したCreER遺伝子をKiss1遺伝子に導入した遺伝子改変ラット(Kiss1-CreER)の始祖系統を得たが、表現型解析の結果Cre遺伝子の発現量が十分でないことが明らかになった。残りの研究期間を考慮すると計画を変更せざるを得ない。今後は神経細胞の電気活動を電極を用いてマルチプルユニット活動(MUA)によって検出し、GnRHパルス発生メカニズムの解明を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

AVPVあるいはARC特異的にKiss1遺伝子をノックアウトするため、昨年度から成体の脳への遺伝子導入はアデノ随伴ウイルスを用いた方法採用しているが、ウイルスの感染条件の検討に時間を費やしており、研究の進展は当初の計画に比べやや遅れている。同時並行で、ラットの神経細胞の電気活動を記録するMUAを用いて卵胞発育を刺激するGnRH/LHパルスの発生メカニズムを明らかにしていく計画を立てている。また、Kiss1ノックアウトラットを用いた行動学的解析からキスペプチンが性行動中枢のオス化および脱メス化に必要不可欠であることを見いだした。今後はこのキスペプチンの新たな機能についても明らかにしていく計画である。

今後の研究の推進方策

今後はまずGFPの遺伝子導入率を指標に、成体の視床下部組織に適したウイルスの感染条件を検討する。その後、AVPVあるいはARC特異的にノックアウトしたマウスの性周期および黄体形成ホルモン分泌動態などの表現型解析を行う計画である。また、神経細胞の電気活動であるMUAをラットを用いてGnRH/LHパルスの発生メカニズムを明らかにしていく計画を立てている。本研究によってキスペプチンの性行動中枢のオス化および脱メス化に必要であることが明らかになった。脳の性分化の起こるとされる周生期にキスペプチンが機能すると仮説をたて、キスペプチンの新たな機能を明らかにする計画である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Lack of Pulse and Surge Modes and Glutamatergic Stimulation of LH Release in Kiss1 Knockout Rats2015

    • 著者名/発表者名
      Uenoyama Yoshihisa, Nakamura Sho, Hayakawa Yuki, Ikegami Kana, Watanabe Youki, Deura Chikaya, Minabe Shiori, Tomikawa Junko, Goto Teppei, Ieda Nhoko, Inoue Naoko, Sanbo Makoto, Tamura Chihiro, Hirabayashi Masumi, Maeda Kei-ichiro, Tsukamura Hiroko
    • 雑誌名

      Journal of neuroendocrinology

      巻: 27 ページ: 187-197

    • DOI

      10.1111/jne.12257

    • 査読あり
  • [学会発表] The role of kisspeptin for defeminization/masculinization of sexual behaviors in rats.2014

    • 著者名/発表者名
      Sho Nakamura, Yoshihisa Uenoyama, Kana Ikegami, Chihiro Tamura Makoto Sanbo, Masumi Hirabayashi, Hiroko Tsukamura, Kei-ichiro Maeda
    • 学会等名
      World Congress of Reproductive Biology
    • 発表場所
      United Kingdom
    • 年月日
      2014-09-03
  • [学会発表] ラット性行動の発現制御におけるキスペプチンの役割2014

    • 著者名/発表者名
      中村翔、上野山賀久、池上花奈、田村千尋、三宝誠、平林真澄、束村博子、前多敬一郎
    • 学会等名
      日本繁殖生物学会
    • 発表場所
      北海道
    • 年月日
      2014-08-22
  • [学会発表] Perinatal kisspeptin is required for suppression of female sexual behavior in male rats.2014

    • 著者名/発表者名
      Sho Nakamura, Yoshihisa Uenoyama, Kana Ikegami, Chihiro Tamura, Makoto Sanbo, Masumi Hirabayashi, Hiroko Tsukamura, Kei-ichiro Maeda
    • 学会等名
      The international Congress of Neuroendocrinology
    • 発表場所
      Australia
    • 年月日
      2014-08-18
  • [学会発表] オス型性行動の形成におけるキスペプチンの役割2014

    • 著者名/発表者名
      中村翔、上野山賀久、池上花奈、田村千尋、三宝誠、平林真澄、束村博子、前多敬一郎
    • 学会等名
      内分泌代謝サマーセミナー
    • 発表場所
      山梨
    • 年月日
      2014-07-11

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公開日: 2016-06-01  

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