研究課題/領域番号 |
13J03890
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
須永 恵美子 大阪大学, 言語文化研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | パキスタン / 南アジア / イスラーム / ウルドゥー語 / 出版文化 |
研究概要 |
本年は、本研究の主要な調査対象地であるパキスタンでの資料収集及び、研究成果の口頭発表に注力した。具体的には、8月から2月まで、断続的にラホール市に滞在し、宗教政治団体であるイスラーム党本部の調査と、ウルドゥー語書籍の資料収集、ウルドゥー語の音声データの収集を行った。滞在にあたってはラホール・ガバメント・カレッジ大学に協力体制を得て、宿舎や図書館の使用などにおいて便宜を測っていただいた。 パキスタンにおいては、大学の図書館や公立図書館、書店街に加え、書籍の露天商や公園で定期的に開催される古本市などに頻繁に足を運び、書籍の購入だけではなく、商店主への聞き取り調査も行った。主な成果としては、1960年代から70年代にかけて出版されていた文芸雑誌、政治系月刊誌など、流通範囲の限られていた雑誌を古書店から入手することができた。これは、報告者が着目している宗教指導者の晩年にあたり、同時代的にこの指導者についての動向・批評などが記されている。 本年度の研究成果の発信として、国内で2回、海外で4回の口頭発表を行っている。代表的なもののひとつに、前述のパキスタン滞在中に開催されたNIHUイスラーム地域研究第4回国際会議でのポスター発表があげられる。これは、NIHUイスラーム地域研究の総括としての大規模な国際会議であり、60人を超える日本人研究者と国内外からの研究者が参加した。報告者はここでパキスタンの出版産業における歴史的な変遷とイスラーム書籍との関わりについて発表する機会をいただき、特にパキスタン国内から参加した研究者、雑誌編集者、新聞記者などから多くのコメントを受けることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、パキスタンにおける調査をおこなった。また、国外の国際学会などにおいて、英語による研究発表を4本行い、研究の進捗状況について議論・確認すると同時に、国際的な人脈を拡充することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年は研究対象の拠点とも言えるパキスタン国内での調査、学術交流が主要な活動であった。今後は、パキスタン・イスラームの国際的展開に着目し、パキスタン国外での動向を視野に入れる。具体的には、南アジア系移民の多いイギリスでの滞在型研究を予定している。
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