研究課題/領域番号 |
13J03890
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
須永 恵美子 大阪大学, 言語文化研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | パキスタン / 南アジア / ウルドゥー語 / イスラーム |
研究実績の概要 |
本年の研究実績は、大きく2つの成果にまとめることができる。ひとつが、イギリスのレスターにある研究機関に客員研究員として研究活動を行ったことである。 本年の5月から9月まで、イギリス中部のレスター市郊外にあるマークフィールド高等教育研究所に滞在し研究をおこなった。同研究所はイギリス国内のイスラーム関係の研究所の一大拠点として認知されており、特にイスラーム経済研究を志す博士課程の学生が多く集まっている。本研究との関連では、同研究所の創設者や主要研究メンバーが、パキスタンの著名な宗教思想家マウドゥーディー研究の世界的な一人者であり、マウドゥーディーの著作の英語翻訳も現在まで盛んにつづけられている。 滞在中は博士課程の院生と共同の研究室を与えられ、日中は研究室や図書館で院生・研究者らと過ごした。キャンパス内の寮に住む教職員とは日常的に面会し、幅広い話題について議論を交わすことができた。さらに、キャンパス内には一般にも貸し出される会議場や宿泊施設があり、週末には各種団体が講演会や研究合宿を開催しており、これらの活動にも参加した。 この滞在の成果は、2度に分けて発表している。まず、8月25日には、ダラム大学の国際ワークショップに参加した。ダラム大学ではイスラーム経済を先行する研究員や大学院生を前に、マウドゥーディーの経済関係の書籍に関する発表を行った。さらに、帰国後に京都大学で行われた国際ワークショップにおいて、マウドゥーディーの出版の変遷に関する発表を行った。 もうひとつの活動としては、博士論文の出版がある。これは、科研の研究成果公開促進費(学術図書)の支援を受けたもので、ナカニシヤ出版より学術図書「現代パキスタンの形成と変容―イスラーム復興とウルドゥー語文化―」として出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年のラホールに引き続き、当初から予定していたイギリスの研究機関に滞在し、在外研究を行うことが出来た。従来は、パキスタンを中心とするアジア諸国での調査活動が主であったが、英語圏での滞在を経験することで、欧米式の研究手法に触れることが出来た。 また、研究成果のアウトプットという面でも、これまでは学会誌や研究会での口頭発表が中心であったのが、書籍の出版という形で成果を出せたことが大きい。
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今後の研究の推進方策 |
本年はイギリスでの在外研究、学術交流が主要な活動であった。今後は、昨年のパキスタンでの調査、イギリスでの研究活動の成果を踏まえ、本研究課題の総まとめを行う。具体的には、研究会・学会発表と学術雑誌への成果論文の投稿を予定している。
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