研究課題
本研究では、月周辺および地球バウショック上流で観測される電磁波動の生成過程の全容を究明することで、太陽風と天体の相互作用現象の包括的理解へと発展させることを目的としている。まず月周辺のKaguya衛星の観測データの解析によって考察した太陽風中におけるホイッスラー波動のエネルギー停滞の理論を確立するために、地球バウショック上流域でGeotail衛星によって観測された数Hz帯の狭帯域波動の統計解析を行った。それらを比較することで理論の一般性を証明し、また、準垂直衝撃波近傍で観測頻度が高いことから、磁力線を横切る反射イオンと入射電子の速度差に起因する不安定性によって励起されている可能性を示唆した。この結果を国内外の学会で発表し、学術論文に投稿中である。次に、月周辺で観測される電磁波動が月磁気異常帯で稀に高調波を伴うことを、Kaguya衛星によって明らかにした。統計解析の結果と、この高調波が地球バウショック上流では観測されないことから、磁場の局所構造や月ダストの影響で非線形急峻化を促している可能性を示唆し、この結果を学術論文として発表した。また、月の高度数十kmから月半径の10倍程度までを周回しているARTEMIS衛星二機の観測データを用いて、波動の空間分布を求め、その伝搬過程を推定した。数Hz帯の狭帯域波動は、月の昼側で強度が強く、磁力線が太陽風に平行に近いときに上流域、および下流の月ウェイク境界付近まで広がっており、月磁気異常と太陽風の相互作用によって励起した波動が磁力線に沿って伝搬しているものと考えられた。一方で、二機の同時観測によって、地球フォアショックの反射イオンと関連した波動も月周辺に少なからず到達していることも明らかにした。これらの結果を国内学会で発表した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Earth, Planets and Space
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Journal of Geophysical Research: Space Physics
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