研究課題/領域番号 |
13J03924
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
天池 一真 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 全合成 / C-H結合直接変換 / 有機合成化学 |
研究概要 |
チオペプチド抗生物質はグラム陽性菌のタンパク質合成阻害剤候補でありその生物・薬理活性が現在急速に注目を集めている。構造的特徴としてはアゾール環(チアゾール、オキサゾール)を置換基とした多置換ピリジンを含む大環状ペプチド構造を有しており、誘導体は50種類以上存在する極めてユニークな化合物群である。このような背景の中、チオペプチド抗生物質の合成は多くの化学者の研究対象となっており、現在まで複数の研究グループによって合成が報告されている。これらの合成において鍵となる多置換ピリジン骨格は、付加環化反応によるピリジン合成や有機金属化合物と有機ハロゲン化物のクロスカップリング反応によって構築されている。しかしながらいずれの合成法においても前駆体の調製に多段階を必要とするため、より直接的な骨格構築法が望まれている。 本研究の目的は、チオペプチド抗生物質群の効率的かつ柔軟な一般的合成法の確立である。そのために今年度は主骨格である多置換ピリジンの迅速構築法の開発をおこなった。本手法は当研究室で開発された芳香環直接連結反応とDiels-Alder反応を鍵反応としており、これまでに4種類のトリアリールピリジンの迅速合成に成功した。さらにチオペプチド抗生物質の主骨格であるトリチアゾリルピリジンの合成に対して、開発した方法を適用することにより目的の多置換ピリジンを得た。今後は詳細な条件検討をおこない、効率的なトリチアゾリルピリジンの合成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
芳香環直接連結反応とDielS-Alder反応を合わせ用いることにより、多置換ピリジンの迅速構築法の開発に成功した。さらに本手法を用いて低収率ながら目的としていたチオペプチド抗生物質の主骨格であるトリチアゾリルピリジンが得られた。以上のようにペプチド抗生物質の効率的合成法の確立に大きく近づいたことから、今年度の研究進歩状況は期待以上のものであったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き開発した多置換ピリジンの合成法の条件検討をおこない、トリチアゾリルピリジンの効率的な合成を目指す。さらに、合成したトリチアゾリルピリジンから種々のチオペプチド抗生物質への誘導化を検討する。
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