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2013 年度 実績報告書

ヒトCENP-Aヌクレオソーム-CENP-C複合体の構造・機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 13J03931
研究機関早稲田大学

研究代表者

有村 泰宏  早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC2

キーワードヌクレオソーム / CENP-A / CENP-C / H2A. B
研究概要

《研究の目的》細胞分裂時の正確な染色体分配を保障する"セントロメアの特殊なクロマチン構造"を解明するため、ヒトのセントロメアクロマチンの基盤構造であるCENP-Cが結合したCENP-AヌクレオソームのX線結晶構造解析を目指している。
《本年度研究実施計画と研究の成果》本年度は以下の【1】~【4】の研究を計画し、実施した。
【1. CENP-CのCENP-Aヌクレオソーム認識ドメインの決定】3種類のCENP-C断片を精製し、CENP-Aヌクレオソームとの結合を解析し、CENP-Cの478-537番目アミノ酸がCENP-Aヌクレオソームの認識をおこなうことを見出した。
【2. CENP-Aヌクレオソーム-CENP-C複合体の形成に必要なヌクレオソームDNA長の検討】CENP-AヌクレオソームのリンカーDNAの長さを変化させてCENP-Cとの結合を解析し、リンカーDNAをもたない145塩基対DNAからなるCENP-AヌクレオソームがCENP-Cとの複合体を形成に十分であることを明らかにした。
【3. 高効率に複合体結晶が得られるDNA配列の検討】複合体の物理的安定性を向上させることで、効率的に結晶が得られると考え、既知のDNA配列の中で最も安定なヌクレオソーム構造を形成する"601L DNA"を用いた。その結果、これまでに用いていたヒトセントロメア由来のDNA配列や601 DNA配列よりも結晶が大きくなり、X線回折に適した結晶が得られやすくなった。
【4. CENP-C融合CENP-Aヌクレオソームの結晶化】【1】から【3】で得られた結果を活用し、CENP-C (478-537)を融合したCENP-Aヌクレオソームを145塩基対の601L配列を用いて作製し、この複合体の結晶を得た。
《本年度の研究の意義、重要性》本課題達成の要である、複合体の結晶作製法を確立したことで、本課題の達成に大きく前進した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

交付申請書に記載した4項目の研究実施計画のすべてを遂行し、十分な成果を得た。これらにより、目的としている"ヒトCENP-Cが結合したヒトCENP-AヌクレオソームのX線結晶構造解析"の達成に向け、複合体の結晶を得ることに成功した。さらに、CENP-Aヌクレオソームと構造的に類似であると考えられたH2A.Bヌクレオソームの構造と機能を解析し、H2A.Bヌクレオソームは、CENP-Aヌクレオソームと同様に、DNAの両末端がフレキシブルな構造を形成していることを明らかにした。これらの成果は当初の計画を大きく上回るものである。

今後の研究の推進方策

今年度の研究によって得られたCENP-C融合CENP-Aヌクレオソームの結晶化条件を最適化し、高分解能の反射が期待されるような良質の結晶を作製する。この結晶をもちいてX線回折データを取得する。
また、良質な結晶を得るために、CENP-Aヌクレオソーム-CENP-C複合体の物理的な安定性を向上させることも平行して行う。このために、CENP-Aを2分子含む通常のCENP-Aヌクレオソームよりも物理的に安定であることが示唆されている、CENP-AとH3.3を1分子ずつ含む"CENP-A/H3.3ヘテロヌクレオソーム"を作製し、このヌクレオソームを用いてCENP-Cと複合体を形成することが可能であるかを解析する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Structural basis of a nucleosome containing histone H2A. B/H2A. Bbd that transiently associates with reorganized chromatin.2013

    • 著者名/発表者名
      Arimura Y., Kimura H., Oda T., Sato K., Osakabe A., Tachiwana H., Sato Y., Kinugasa Y., Ikura T., Sugiyama M., Sato M., Kurumizaka H.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 3 ページ: 3510

    • DOI

      10.1038/srep03510

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structural polymorphism in the L1 loop regions of human H2A. Z. 1 and H2A. Z. 2.2013

    • 著者名/発表者名
      Horikoshi N., Sato K., Shimada K., Arimura Y., Osakabe A., Tachiwana H., Hayashi-Takanaka Y., Iwasaki W., Kagawa W., Harata M., Kimura H., Kurumizaka H.
    • 雑誌名

      Acta Crystallogr. D Biol. Crystallogr.

      巻: 69 ページ: 2431-2439

    • DOI

      10.1107/S090744491302252X.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] L-amino acid ligase from Pseudomonas syringae producing tabtoxin can be used for enzymatic synthesis of various functional peptides.2013

    • 著者名/発表者名
      Arai T., Arimura Y., Ishikura S., Kino K.
    • 雑誌名

      Appl. Environ. Microbiol.

      巻: 79 ページ: 5023-5029

    • DOI

      10.1128/AEM.01003-13.

    • 査読あり
  • [学会発表] CENP-Aヌクレオソームにおける動的なDNA構造とその制御機構2013

    • 著者名/発表者名
      有村泰宏、越阪部晃永、白山一義、竹田瑶弥、宮優太、立和名博昭、河野秀俊、胡桃坂仁志
    • 学会等名
      第36回分子生物学会大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2013-12-04
  • [学会発表] ヒトヒストンバリアントH2A. Bを含むヌクレオソームの機能解析2013

    • 著者名/発表者名
      有村泰宏・木村宏・小田隆・佐藤浩一・佐藤優子・衣笠泰葉・藤田理紗・白山一義・堀越直樹・越阪部晃永・立和名博昭・杉山正明・佐藤衛・胡桃坂仁志
    • 学会等名
      第31回 染色体ワークショップ・第12回 核ダイナミクス研究会
    • 発表場所
      ホテルおかだ(神奈川県足柄下郡)
    • 年月日
      2013-11-25
  • [学会発表] ヒトヒストンバリアントH2A. Bの機能解析2013

    • 著者名/発表者名
      有村泰宏・小田隆・佐藤浩一・藤田理紗・松本亮平・田口裕之・堀越直樹・越阪部晃永・立和名博昭・杉山正明・佐藤衛・木村宏・胡桃坂仁志
    • 学会等名
      第86回日本生化学会大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2013-09-12
  • [学会発表] ヒストンバリアントH2A. Bによるヌクレオソーム形成とその構造・機能解析2013

    • 著者名/発表者名
      有村泰宏・小田隆・佐藤浩一・松本亮平・田口裕之・堀越直樹・越阪部晃永・立和名博昭・杉山正明・佐藤衛・木村宏・胡桃坂仁志
    • 学会等名
      第7回エピジェネティクス研究会年会
    • 発表場所
      奈良県新公会堂(奈良県奈良市)
    • 年月日
      2013-05-30
  • [図書] エピジェネティクスキーワード事典2013

    • 著者名/発表者名
      有村泰宏、越阪部晃永、胡桃坂仁志
    • 総ページ数
      307
    • 出版者
      羊土社
  • [備考] 早稲田大学プレスリリース

    • URL

      http://www.waseda.jp/jp/news13/131217_dna.html

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公開日: 2015-07-15  

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