研究課題
真核生物のゲノムDNAはヌクレオソーム構造を基本単位としたクロマチン構造を形成している。細胞分裂時の正常な染色体分配に必須なセントロメア領域には、CENP-A、CENP-Cなどのセントロメアタンパク質群が集積し、特殊なクロマチンが構築されている。本研究は、セントロメアクロマチンの形成機構の解明を目指して、CENP-Cが結合したCENP-Aヌクレオソームの生化学的・構造生物学的解析を行った。平成25年度までに、CENP-A認識に十分なCENP-C内の領域を同定し、この断片をヒストンH4の末端に連結した“CENP-C連結ヌクレオソーム”の結晶を得ていた。そこで、平成26年度は以下の実験をおこなった。1)平成25年度までの研究によって見出されていた結晶化条件を最適化し、200-300µm程度の大きさの結晶が得られる条件を決定した。2)上記の結晶化条件の検討によって得られた結晶をもちいて回折データの取得を試みた。当初は良好な反射を得ることが出来なかったが、結晶の扱い方法を検討した結果、4 Å程度の回折点を得るまでに至った。3)上記の研究に加えて、ヌクレオソームの物理的安定性を向上させることで、結晶の質を良化させることを図った。そこで調製したCENP-AとH3.3を1分子ずつ含むヌクレオソーム(CENP-A/H3.3ヌクレオソーム)は、CENP-Aヌクレオソームよりも安定であり、良質な結晶を晶出した。CENP-A/H3.3ヌクレオソームはCENP-Cを結合可能であり、CENP-A/H3.3ヌクレオソームを用いることで、CENP-C結合ヌクレオソームの結晶を良質化させることができる。これらの成果はScientific Reports誌に論文発表した。さらにこれらの研究が評価され、第87回日本生化学会において若手優秀発表賞を受賞した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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