研究課題/領域番号 |
13J03948
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安倉 和志 九州大学, 大学院薬学研究院, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 不斉錯体 / 不斉反応 / 触媒反応 / 多核錯体 |
研究概要 |
カスタマイズ性能の高い不斉二核触媒の開発を目標に、独自にデザインを行った不斉亜鉛二核錯体の設計を行った。 この設計に従い、支持配位子の合成を行い、そして亜鉛との錯形成によって、目的の不斉亜鉛二核錯体の合成に成功した。また、亜鉛以外の金属核との錯形成にも取り組んでおり、亜鉛とそれほどイオン半径の異ならない第三周期遷移金属を中心に錯形成反応を行ったところ、亜鉛の他にも銅においても同様に二核錯体を形成させることが明らかとなった。 また、合成を行った不斉亜鉛二核錯体を用いた触媒活性の検討を行った。その結果、当二核錯体の構想の基となった亜鉛四核クラスター触媒が得意とするエステル交換反応においては、新規不斉亜鉛二核錯体は低活性であったが、アミドを生成させる反応において亜鉛四核クラスター触媒等を上回る活性を発現し、それらとは異なる触媒活性を発現させることが明らかとなった。しかし、錯体の不斉空間を利用した不斉反応の検討では、狙ったような不斉は誘起できず、本錯体では不斉空間の構築が不十分であるということが明らかとなった。 そこで、反応場に対して立体的な影響をより大きくするように、持ち前のカスタマイズ性能を利用した置換基の導入を行った、新たな配位子の合成を行っている。現在の段階では、新たな立体的置換基を導入した不斉部位の合成を行ったところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
錯体のデザインや設計、およびその合成には成功し、触媒反応の検討を行ったところまでは評価できると思われるが、予想していたよりも触媒活性が低く、これの改善を行う必要があったため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本触媒の活性を向上させることが必要であると考えられる。 また、当該の計画であった、異核錯体の合成と、その触媒活性の検討が必要である。
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