「地球と太陽(太陽風)の相互作用からどのような物理過程で、オーロラ現象が引き起こされるのか」、その過程を明らかにするために、人工衛星の観測データの解析を行った。これまで調べることが難しかったオーロラ現象の源の構造、特に電流層の構造を調べることから、プラズマ物理を用いたオーロラ現象の説明を試みた。
THEMIS衛星群を用いた電流観測から、「磁気圏尾部の電流経路」、「サブストームの発生源(起電力)」、「磁気圏のエネルギー収支」がわかるようになることが期待できる。また電流密度の構造と理論研究を合わせることにより磁気圏尾部プラズマシートが安定的に存在できるのか議論できるようにするための基礎的な知見を得ることができた。
研究では、 複数の人工衛星を用いた磁気圏尾部の解析方法を開発し、電流密度を直接調べることを可能にした。開発した解析手法は、2007年にNASAが打ち上げたTHEMIS衛星群5機を用いて実際の観測データへ適用をした。2007年から2014年の観測事例を調べ統計的な性質を得ることができた。次に平均的な状態と比べて、サブストーム(オーロラ嵐)ときにどのような特徴が見られるのかを調べた。これまで磁気圏で電流密度が高くなる場合は、サブストームの成長相と考えられていたが、発達相にも高くなることを初めて示すことができた。ストーム開始時の電流系のモデルを構築し、プラズマシートの東西非対称の特徴を観測データから明らかにした。
|